Research Abstract |
(1) 量子系のハミルトニアンH(ヒルベルト空間上の自己共役作用素)と弱ヴァイル関係式を満たす対称作用素はHの強時間作用素と呼ばれる.本研究においては,強時間作用素のスペクトルについて詳しい解析を行い,重要な結果を得た(A. Arai, Spectrum of time operators, Lett. Math. Phys.80(2007),11-17). (2) ハイゼンベルク作用素の一般論を展開し,不変部分空間やハイゼンベルク型方程式の数学的に厳密な定式化および解の一意性の問題について,新しい知見を見出した.本理論は,通常の有限自由度の量子力学だけでなく,無限自由度の量子力学,特に,量子場の理論にも適用できるものであり,その応用範囲は広い.詳細については,A. Arai, Heisenberg operators, invariant domains and Heisenberg equations of motion, Rev. Math. Phys.19(2007),1045-1069を参照. (3) 量子系と相互作用する量子場のある一般的クラスに対して,その基底状態の正則性の解析を行った.これは,基底状態がどのクラスのヒルベルト空間に属するものかを見極めるための研究であり,基底状態の性質を探る上で重要な要素のひとつを形成するものである.詳しくは,A. Arai, M. Hirokawa and F. Hiroshima, Regularities of ground states of quantum field models, Kyushu J. Math.61(2007),321-372を参照.
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