2005 Fiscal Year Annual Research Report
密集市街地に建つ住宅における通風有効利用手法の提案
Project/Area Number |
17360281
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 元康 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70011228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉渕 隆 東京理科大学, 工学部, 教授 (70178094)
今野 雅 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (10312977)
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Keywords | 通風 / 中国 / 密集市街地 / 住宅 / 風洞実験 / 風圧係数 / 屋根面 |
Research Abstract |
密集市街地に建つ戸建住宅に作用する風圧係数の把握 密集市街地に建つ戸建住宅で通風を活用する際の問題点及び改善点を把握するために、風洞実験を実施した。一般的に通風量は建物の外皮に作用する風圧係数に基づいて算出される。したがって、周辺建物の状況を変化させて評価対象住宅の各壁面・屋根面の風圧係数を測定した。その際、予備検討として周辺建物の状況を数ケース変化させて測定し、周辺建物の再現範囲を検討した。評価対象住宅は、日本建築学会環境工学委員会熱環境小委員会(2000)が熱負荷シミュレーションのベンチマークテスト用に提案した標準問題用住宅とした。建物壁面に対して垂直に気流が作用する場合、周辺に建物が無ければ風上と風下の壁面平均風圧係数差は0.88(風上壁面0.57、風下壁面-0.31)となるのに対し、密集市街地では風上と風下の壁面平均風圧係数差は0.18(風上壁面-0.01、風下壁面-0.19)となった。このことから密集市街地では、壁面に設置した開口部からは充分な通風量が期待できない。一方、屋根面の風圧係数は、風向角によらず常に負圧となり、特に棟部分では、-0.2〜-0.4と比較的大きな負圧となった。したがって、密集市街地に建つ住宅では屋根面に開口を設置して排気口とすることにより、通風を有効に活用することが可能となると判断される。 屋根面開口による通風促進効果検討用の風洞実験模型の作成 上記風洞実験の知見から、屋根面の負圧を利用した「坪庭」、「越屋根」、「通風塔」などの検討を実施するための風洞実験模型を作成した。平成18年度では、これらを用いて風洞実験・数値流体解析を駆使して研究を進める。 中国・広州における通風に関するアンケート調査 中国・広州の居住者を対象に「開口部の種類・開閉状況」、「空調機器の使用状況」、「通風に対する意識」、「活用状況」、「問題点」などを把握するためにアンケート調査を実施した。総配布数は300部で、281戸からの解答があり、有益な知見が得られている。 中国・広州に建つ集合住宅の風洞実験模型の作成 中国・広州では、階段室に複数の住戸が間口を連ねる「単元式集合住宅」が多く見られる。このような集合住宅の下階住戸では、周辺建物の影響により充分な通風量が確保できないことが懸念される。そこで、「単元式集合住宅」が市街地にある場合の風圧係数を把握し、通風促進手法の検討を実施するための風洞実験模型を作成した。
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