2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360459
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇埜 正美 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00232885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 伸介 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00166753)
黒崎 健 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (90304021)
牟田 浩明 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (60362670)
|
Keywords | 水素化物 / ジルコニウム / 破壊挙動解析 / 軽水炉燃料被覆管 / 水素化物遅割れ / 有限要素法解析 |
Research Abstract |
水素脆化した軽水炉燃料被覆管の健全性評価のため、本年度はまず、応力下におけるZr合金中の水素拡散挙動を実験的に評価することを試みた。明確な水素の拡散は観察されなかったものの、今後の研究に必要な装置・知見・技術が整備され、課題も明らかとなった。次に、有限要素法解析によって、被覆管における温度・応力・ひずみ分布を熱-応力達成解析から計算し、また破壊評価線図を用いて破損に至る内圧を評価した。内圧の増加によって特に円周方向応力が増加し、強い引張応力が被覆管全般にわたって生じた。半径方向応力は円周方向に比べると小さいものの、被覆管内面側で大きい値をとり、この影響によって塑性ひずみ量はいずれも被覆管内面で大きくなった。また、相当塑性ひずみ量が1%となる内圧は30MPaと見積もられた。き裂先端近傍では強い円周方向の引張応力のため、負の静水圧応力が生じた。さらに、破壊評価線図から、50μm以上のき裂ではほぼき裂の進展によって破壊に至ると考えられる。そして、この温度と応力分布から、被覆管における水素の拡散挙動を評価した。き裂先端近傍の数十・mの範囲においてのみ、水素は静水圧応力分布に従って分布すること、水素の拡散は速やかに起こり、き裂先端近傍では1秒程度のごく短時間で水素濃度が10%程度増加することなどが見出された。また、浅いき裂もしくは内圧が小さいときはほぼ10秒程度で水素の拡散が収束した。水素濃度の増加率およびその範囲はき裂深さおよび内圧に依存しており、時間依存性も含め静水圧応力の分布が水素拡散挙動に対する主要因であるといえる。 さらにき裂が進展するために要する時間を仮定によって求めた結果、き裂が進展するのに要する時間はき裂深さとともに指数関数的に減少し、き裂深さや内圧によって到達できる水素濃度変化率が決まり、また拡散はごく短時間で収束するため、数分以内のごく短時間に破損するか、あるいは進展が全く起こらないかの2通りに分かれた。 以上より、BWRの燃料のRX材Zry-2に見られる水素化物遅れ割れ現象を模擬する手法の基礎を確立した。
|
Research Products
(4 results)