2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 謙介 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (90221556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正利 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (90274521)
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Keywords | 偏性嫌気性細菌 / 脱ハロゲン呼吸 / 脱塩素化反応 |
Research Abstract |
本研究では揮発性高塩素化合物を高度に脱塩素化する偏性嫌気性細菌についてその脱ハロゲン呼吸のメカニズムを解明するため、基礎・基盤研究を行うが、本年度はクロロメタン類がY51株の生育とpce遺伝子群の安定性に及ぼす影響を検討した。 Y51株を酵母エキス、ピルビン酸、フマール酸を含む最小液体培地(MMYPF培地)に接種し、市販のcis-DCE(5mM)を添加して培養するとY51株の生育が阻害され、さらにpceABCを欠失したLD株が高頻度(80%)に出現した。その後、市販のcis-DCEには高濃度(7,570ppm)のクロロフォルム(chloroform, CF)が混入していることがGC-MS解析で明らかになったため、CFがY51株の生育とLD株の出現頻度に及ぼす影響を検討した。Y51株をMMYPF液体培地に擁し、1μMのCFを添加して培養するとlag期が約24h長くなった。また、LD株が84±4%と高頻度に出現することが分かった。次に、四塩素化メタン(carbon tetrachloride, CT)と二塩素化メタン(carbon dichloride, CD)の影響を検討した。CTを0.1μMとなるように添加するとlag期が12h長くなり、1μMとなるように添加するとlag期が24h長くなった。一方、CDを1mMとなるように添加しても生育を阻害しなかった。また、LD株の出現頻度は、CT1μM添加で94±6%と高頻度であったのに対して、CD1mM添加では欠失株は出現しなかった。したがって、CTはCFと同様にY51株の生育を阻害し、pce遺伝子欠失株を高頻度に出現させることが明らかとなった。クロロメタン類はクロロエテン類と共に環境汚染を引き起こしており、これらの物質が脱ハロゲン呼吸細菌に与える影響を明らかにすることはきわめて重要と考えられる。
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Research Products
(4 results)