2006 Fiscal Year Annual Research Report
マツ林における外生菌根共生系の維持機構の分子生態学的解明
Project/Area Number |
17380089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 範久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 講師 (00282567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 健二 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30208954)
鈴木 和夫 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80162931)
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Keywords | 海岸林 / 外生菌根菌 / 菌類 / 共生 / 根圏微生物 / マツ科樹木 |
Research Abstract |
本研究では,マツ林における外生菌根共生系の維持機構に関わる生物的要因の影響を明らかにするために,菌根共生系と根圏微生物群集との相互作用を分子生態学的手法により解明し,その相互作用を利用した外生菌根菌の活用技術の確立を図ることを目的とする。本年度は以下の成果が得られた。 1.外生菌根および周辺の根圏微生物群集の分子生態学的解明 (1)クロマツ海岸林の狭い範囲における外生菌根菌の地下部の群集構造を調査した結果,少数の優占種と多数の非優占種がモザイク状に混在していることが明らかにされた。 (2)クロマツ海岸林内に侵入したニセアカシアに共生する根粒菌の種組成と空間分布をPCR-RFLP法を用いて調査した結果,同じRFLPタイプの根粒菌に感染した根粒が隣接する傾向が有意に観察された。 2.菌根共生系に及ぼす根圏微生物の影響の解明 (1)外生菌根菌の胞子発芽に有効な既往の方法の組み合わせでのアミタケ胞子の発芽率を比較した結果,培地の活性炭処理とアカマツ無菌苗との二員培養の組み合わせが有効であることが明らかにされた。 (2)外生菌根菌の菌糸成長に対する界面活性剤と植物油の影響を調査した結果,両物質ともに多くの外生菌根菌の菌糸成長を促進することが明らかにされた。また,界面活性剤は,培地の滅菌方法により成長促進効果が異なることが明らかにされた。 3.外生菌根共生系構築過程への根圏微生物導入効果の実証 大型ライゾトロンを用いて,微速度撮影による根系の観察・測定手法を確立した。さらに,その手法を用いて根系の観察を行った結果,根は,地上部の光条件(明・暗)や温度条件に関わらず,ほぼ一定の速度で伸長することが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)