Research Abstract |
1.この研究は,サクランボ(オウトウ)の収穫作業省力化のために,収穫ロボットを開発することを目的としている。対象とするオウトウは,果実が平面的に分布する垣根仕立てと1本仕立てのオウトウである。 2.対象物の視認性,ロボットの機構などを検討するため,オウトウの収穫時期である6月に基礎的な調査を実施した。垣根仕立て,1本仕立てのオウトウを調査した結果,これらの仕立て方は,平面的に存在する側枝または主幹の周囲に果実が結実しているため,視覚認識,収穫動作に有利であることが確認できた。 3.果実をもぎ取るときの力学性を調べる実験を行った結果,果梗-短果枝間の強度は,果梗-果実間の強度より大きく,果梗が付いたまま収穫するためには,果梗を把持して収穫する必要があると考えられた。 4.垣根仕立てのオウトウを対象としたロボットは,直角座標型マニピュレータを用いたものを試作した。山形県天童市の農家の仕立て方に適合するよう,マニピュレータの可動範囲は3軸とも約500mmとし,次年度以降の実験でリフトで持ち上げて高所作業も行えるよう,軽量とした。 5.1本仕立てのオウトウを対象としたロボットは,奈良県果樹振興センターでの仕立て方にあわせて基本部分の試作を行い,室内で収穫基礎実験を行った。このロボットは,水平関節型ロボットで,三次元視覚センサ,収穫用エンドエフェクタを装備している。三次元視覚センサで得られた画像を処理して,果実の三次元位置や収穫時の障害物を認識して,障害物を避けて果実を収穫するプログラムを作成した。エンドエフェクタは,果梗を把持して収穫するものとした。室内実験の結果,収穫の基本動作が可能であることを確認した。 6.栽培面の研究は,従来から行っている1本仕立ての研究を継続して実施し,栽植4年で早期成園化が可能で,10アールあたり換算で300kg台の収量が得られることを明らかにした。
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