2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380195
|
Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
川島 知之 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生産管理部, 室長 (10355068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 秀雄 京都大学, 大学院・農学研究科応用生物科学専攻・動物栄養科学分野, 教授 (20026587)
荻野 暁史 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・畜産環境部, 研究員 (70355098)
|
Keywords | 食品残さ / 飼料 / LCA / 環境負荷 / 循環型社会 |
Research Abstract |
食品残さは一般に水分が高く、乾燥するには多大な化石燃料を使用せざるを得ない。また、高温で乾燥するとタンパク質が変性してその利用性が低下する。一方、調製段階で発酵もしくは酵素によるプレダイジェスチョンの工程を設けることにより、リン・銅・亜鉛等の利用性が向上され、環境負荷が低減できる。そこで、乾燥法、リキッド法等食品残さの各種処理法により製造された飼料の栄養特性を調査し、それぞれの処理法による環境負荷低減効果を明らかにする。 パン屑、米ヌカ、野菜屑、オカラを異なる配合(2種類)と3水準の処理温度(90℃、100℃、125℃)の組み合わせで製造した6種類の飼料を用いてブタによる消化試験を実施した。処理温度が高くなるにつれて、粗繊維ADF、NDF、OCWいずれの繊維画分もその消化率が有意に低下した。マグネシウム吸収率は処理温度125℃において、他の処理温度に比べて有意に低い値を示した。加熱により供試飼料中のマグネシウムが繊維等の飼料中成分と強固に結合し、試験飼料のマグネシウム吸収率の低下を引き起こした可能性が考えられた。 フィターゼ源として利用できる可能性がある様々な食品製造残さ中フィターゼ活性を検討した。ビール酵母のフィターゼは6870PU/kgと高い活性を示した。また、ビール粕、醤油粕ならびに生米糠のフィターゼは781PU/kg、198PU/kg、501PU/kgであった。一方、ウイスキー粕、焼酎粕、脱脂米糠のフィターゼ活性は極めて低かった。ビール酵母で飼料を処理すると、24時間で約20%のフィチンが分解された。 食品残さ飼料化の環境負荷低減効果を、食品残さを乾燥飼料化する場合(「乾燥」)およびリキッド飼料化する場合(「リキッド」)と食品残さを焼却により廃棄する場合(「焼却」)について聞き取り調査と文献値からライフサイクルアセスメントにより比較した結果、残さ飼料あるいは輸入飼料1kgあたりのCO2量は、「乾燥」と「焼却」が同程度であり、「リキッド」は他の二つの4分の1以下であった。
|