2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニンの細胞特異的な機能部位の同定と作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
17390024
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
野水 基義 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00311522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 純司 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (60200721)
高木 充弘 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (90267493)
宇谷 厚志 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10292707)
門谷 裕一 北里大学, 医学部, 講師 (10185887)
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Keywords | ラミニン / 基底膜 / ペプチド / インテグリン / シンデカン / 細胞接着 / CD44 |
Research Abstract |
ラミニン由来の活性ペプチドの同定と、それらが器官発生、神経再生、創傷治癒などの高次生命現象に及ぼす役割を解明し、細胞特異的に働く活性ペプチドを医薬分野などに応用するための基盤づくりを目的に研究を行った。昨年度の本研究課題で、ラミニンα鎖(α1〜α5)のGドメインのLG4モジュールに存在するループ構造の相同部位に注目し、α1の相同部位はインテグリンに、α3の相同部位はシンデカンに特異的に結合して表皮細胞の運動を促進するとともに創傷治癒作用を促進することを報告してきた。本年度は、ヒトラミニンα1〜5鎖LG4モジュール内のE-Fループ部位に相当する合成ペプチドhEF-1〜hEF-5を用いて生物活性を測定し、hEF-1はα2β1インテグリンを介して細胞と接着し、hEF-3は細胞上でシンデカン-2と共局在することをみいだした。次に、hEF-1とhEF-3のアミノ酸配列を融合した5種類のキメラペプチド(cEF13A-E)を合成し、生物活性の測定を行ったところ、α2β1インテグリンとシンデカンの両方と相互作用するキメラペプチドをみいだすことに成功した。これらのキメラペプチドはインテグリンとシンデカンの細胞への作用を研究する上においても重要なツールとなるものである。これらの結果は、Yokoyama, F.、Biochemistry,44,9581-9589,2005の他3報に報告した。また、ラミニンα5鎖のペプチドがCD44に結合し、がん転移を抑制することを見いだした(Hibino, S.ら、Cancer Res.,65,10494-10501,2005)。以上の研究結果は、ラミニン活性ペプチドの高次生命現象に及ぼす組織特異的な役割を分子レベルで解明していくことの可能性と、組織特異的に働くラミニン活性ペプチドの医薬分野への応用の可能性を示唆するものである。
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