2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390085
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Foundation for Research on Aging and Promotion of Human Welfare |
Principal Investigator |
白澤 卓二 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (80226323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 孝彦 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (40301791)
高橋 眞由美 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 助手 (50133632)
小河原 緑 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 助手 (60100111)
森泉 栄子 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 助手 (20322711)
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Keywords | MnSOD / 活性酸素 / 老化 / ミトコンドリア / Cre-loxP / 呼吸鎖複合体 / アポトーシス / ATP合成 |
Research Abstract |
個体老化は、活性酸素によるタンパク質やDNA、脂質などの生体成分に酸化ストレスが蓄積することが主な原因だと考えられている。MnSODはミトコンドリア内に局在し、ATP生産時に電子伝達系から漏れ出た活性酸素種O_2^+をH_2O_2とO_2に変換する酵素である。本研究では、生体組織におけるO_2^+の影響を長期的に解析するため、Cre-loxP systemを用いて組織特異的にMnSODを欠損するマウスを使用した。Muscle creatin kinaseプロモーター制御下でCreリコンビナーゼを心筋・骨格筋特異的に発現させることにより心筋・骨格筋特異的にMnSODを欠損するマウスを作製し、解析を行った。その結果、欠損マウスは体重減を伴い、生後6ヶ月までに死亡することを明らかにした。4ヶ月齢欠損マウスの心臓は著しく拡大し肥大を伴わない拡張型心筋症を示し、心臓重量は約3倍に増加していた。これらの結果より心筋・骨格筋特異的Mn-SOD欠損マウスは活動性低下を伴う進行性の拡張型心筋症を呈することが判明した。組織学的所見として心筋細胞の不整配列、細胞膨化、変性像が明らかとなった。電子顕微鏡ではミトコンドリアサイズが小さくなり、数が増加し、クリステは中央に収束するような異常構造を示していた。心筋凍結切片の呼吸鎖酵素活性染色を行ったところ、呼吸鎖複合体IIであるコハク酸デヒドロゲナーゼ活性は著しく低下しているのに対し、呼吸鎖複合体IVであるシトクロームCオキシダーゼ活性は変化が認められず、選択的な呼吸機能障害が生じていることが判明した。さらにRT-PCRにより呼吸鎖複合体IIサブユニットのmRNA量を調べたところ、mRNA量は野生型マウスのmRNA量と同レベルに保持されていた。これらの結果は、ROSによるタンパク質レベルの翻訳後修飾によって呼吸鎖複合体IIサブユニットの変性、または分解が亢進したことを示唆した。さらにその低下した呼吸鎖複合体IIサブユニットは代償的補填がなされることはなく、ミトコンドリアの不可逆的機能不全に至り心不全を引き起こすと考えられた。
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