2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児の学習能を用いた中枢神経系機能評価方法の開発と応用
Project/Area Number |
17390308
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 仁雄 九州大学, 大学院医学研究院, 名誉教授 (40038766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学病院, 助手 (40304779)
諸隈 誠一 九州大学, 大学病院, 助手 (50380639)
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Keywords | 胎児行動 / 超音波断層法 / 馴化・学習 / ウルトラディアンリズム / 胎児中枢神経系機能 |
Research Abstract |
驚愕反応を利用した検討から妊娠32週以降の胎児に馴化が認められること、中枢神経系機能の発達レベルが異なる症例では馴化の形成様式が異なっていることを示してきた。刺激に対する反応は大きく驚愕反応と定位反応に分けられる。定位反応は未知の刺激に対する注意反応であり驚愕反応に比し上位中枢の関与が必要とされ、その馴化には海馬が関与すると報告されている。本年度は胎児の学習能の評価として定位反応を用いた馴化について検討を行った。 対象は母体から研究参加への同意を得た妊娠32-34週の胎児9例と妊娠35-37週の胎児12例である。刺激には2種類の白色雑音(85dB)、A刺激(250ms、無音期間250ms、4.75秒間反復)、B刺激(500ms、無音期間500ms、4.5秒間反復」を用いた。胎児の無眼球運動期に母体腹壁より15cm離れたスピーカからA刺激を5回呈示した後にB刺激を1回行った。解析には刺激後の胎児心拍数変化を用いた。妊娠32-34週、妊娠35-37週の各群およびコントロール群(無刺激)で、初回刺激に対する反応の大きさ、繰り返し刺激に対する反応の大きさの変化、A-5試行とB試行の反応の大きさをそれぞれMcNemar test、ANOVA、paired t-testを用いて検討した。 初回刺激に対する心拍数変化は、35-37週群では-3.6bpm(絶対値:4.3bpm)と有意であった。32-34週群では0.29bpm(絶対値:3.6bpm)であり絶対値のみ有意であった。繰り返し刺激、B刺激に対して、35-37週群では反応が漸減しB刺激により回復したが、妊娠32-34週の胎児では心拍数変化に一定の傾向は見られなかった。 以上より妊娠35週以降のヒト胎児では定位反応の馴化が認められることが分かった。これらの胎児では海馬を中心とした大脳辺縁系が機能開始していると考えられた。
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Research Products
(3 results)