2005 Fiscal Year Annual Research Report
Marginal donor過小グラフトにおける肝グラフト機能向上の試み
Project/Area Number |
17390343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
里見 進 東北大学, 病院, 教授 (00154120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 順寛 東北大学, 病院・助手 (50302112)
土井 秀之 東北大学, 病院・助教授 (90188839)
森 隆弘 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (00323030)
後藤 順一 東北大学, 病院・教授 (80006337)
榎本 好恭 東北大学, 病院・助手 (50375044)
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Keywords | 過少グラフト肝移植 / 肝重量当たり門脈血流量 / 類洞内皮障害 / 微小循環障害 / 門脈下大静脈シャント |
Research Abstract |
大量肝切除後、及び過小グラフト肝移植後には、肝不全など重篤な合併症が起きることもあるが、その原因の一つとして、術後肝容積の著しい減少状態において門脈血流は相対的に過剰であり、肝循環が破綻するためと考えた。 ブタに対し、実験I:83%大量肝切除、実験II:25%部分肝移植を施行し、残肝およびグラフト肝の血行動態を評価した。また門脈下大静脈シャントを作成し、門脈血流を減少させたときの血行動態の変化と、過小グラフト肝移植が可能になるかを検討した。 実験I:シャント非作成群は術後肝不全にて4例が24時間以内に死亡し、残りの3例は3日以内に死亡した。シャント作成群は全例4日以上生存しその内3例は7日以上生存した。大量肝切除1時間後の単位重量当たりの門脈血流量はシャント非作成群では開腹時の約7倍にまで上昇したが、シャント作成群では約1.8倍程度であった(P<0.05)。 実験II:レシピエントの全肝を摘出後、後区域グラフトを移植。門脈下大静脈シャント作成群(n=11)と非作成群(n=11)の2群に分け比較検討した。非作成群は、1例を除いて移植後24時間以内に死亡したのに対し、作成群は8例が4日以上生存した。100g肝重量当たり門脈血流量は、シャント非作成群では再灌流1時間後に開腹時の約2.4倍にまで増加したが、シャント作成群では半分程度に減少していた(P<0.05)。再潅流1時間後に採取したグラフトの病理組織学的所見は、作成群で肝細胞構築がほぼ正常に保たれていたのに対し、非作成群では門脈域の出血と類洞内皮の脱落、ディッセ腔の開大など著明な類洞構造の破壊が認められた。 以上より、過剰な門脈血流により惹起される類洞内皮障害、微小循環障害が回避されると、より安全に大量肝切除及び過小グラフト肝移植を施行できるようになることが示唆された。
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Research Products
(2 results)