2008 Fiscal Year Annual Research Report
4次元声道モデルに基づいた鼻咽腔閉鎖機能診断、治療支援システムの開発
Project/Area Number |
17390543
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
片岡 竜太 Showa University, 歯学部, 講師 (20214322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 智江 昭和大学, 医学部, 助手 (00449084)
大久保 文雄 昭和大学, 医学部, 准教授 (30223762)
山下 夕香里 昭和大学, 歯学部, 講師 (50260906)
今井 智子 北海道医療大学, 心理学部, 教授 (60260907)
荒井 隆行 上智大学, 理工学部, 教授 (80266072)
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Keywords | 鼻咽腔閉鎖機能 / 開鼻声 / 4次元声道モデル / 診断システム / 治療支援 |
Research Abstract |
健常者8名(男性4名と女性4名)の[impee]発音時の4次元MRI撮像を行った。MRIの撮像法はSynchronized Sampling Method (SSM)法を用いた。得られた三次元画像を時間軸状に配列して四次元データとした。四次元データから/i/、/m/、/p/発音時のフレームを特定し抽出した。健常者の[impee]発音時の声道の3次元動画像を得て、口唇、舌、下顎および鼻咽腔の動態と音声波形を同期して観察することが可能であった。鼻咽腔閉鎖運動について、Croftらによる鼻咽腔閉鎖パターンに基づいて分類したところ、CoronalパターンCircularパターン、Circular with Passavant ridgeパターンを認めた。軟口蓋、鼻咽腔開存部および口蓋帆挙筋(LVP筋)の安静時及び母音/i/と子音/p/発音時の位置と形状を、正中矢状断面と水平断面で観察した。その結果、安静時にLVP筋は楕円形状をしており、その長軸は前後方向を向いていたが、軟口蓋が最大挙上すると鼻咽腔開存部に向かって回転した(タイプA)。また軟口蓋の中等度の挙上ではLVP筋の長軸は近心に平行移動した(タイプB)。発音時の軟口蓋の運動が顕著なCoronal patternの被験者のLVP筋の運動はタイプAを示し、Circularタイプの被験者は子音/p/ではタイプA、母音/i/ではタイプBを示した。上咽頭収縮筋は健常者においては、Circular with Passavant ridge patternの被験者のみパサバント隆起の形成に伴う顕著な運動が認められた。これらの結果に基づき、ゲル素材の軟口蓋、咽頭壁を持ち、軟口蓋の挙上とともに、咽頭側壁、後壁の運動ができる声道模型を開発し、上記の4つの鼻咽腔閉鎖パターンを実現した。鼻咽腔の形状の変化に伴い産生される開鼻声の音響学的変化を検討した。いずれの鼻咽腔閉鎖パターンにおいても鼻咽腔開存面積が増大すると第1,2フォルマント間のレベルが上昇し、開鼻声が顕著になる事が確認された。
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