2005 Fiscal Year Annual Research Report
デンタルプラークが全身の健康に及ぼす影響-動物実験モデルの応用-
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17390565
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
於保 孝彦 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50160940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 勝浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90195264)
長田 恵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00304816)
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Keywords | デンタルプラーク / 口腔細菌 / 動物モデル / 心内膜炎 / 付着 / Streptococci |
Research Abstract |
本研究の目的は動物実験モデルを用いて、ヒトデンタルプラークそのものが心臓や肺の炎症を誘発するかどうかを直接的に検証し、病巣から回収される菌による炎症誘発メカニズムについて検討を行うことである。 まず、ラットモデルを用いてデンタルプラークの感染性心内膜炎誘発能を調べた。27匹のWistar系雄ラットの大動脈弁に損傷を与えた後、3名の口腔から採取したヒト歯肉縁上プラークの懸濁液を尾静脈から注入し、3日後、全身麻酔下にて心臟と動脈血を採取し、実体顕微鏡下で大動脈弁部に形成された疣贅を摘出した。生存していた15匹のラットのうち14匹に感染性疣贅が認められた。この疣贅中に存在する菌数を調べたところ、3種類のプラーク間で有意な差は認められなかった。次にこの疣贅中から回収される菌種構成を調べたところ、接種原であるデンタルプラークの組成とは大きく異なり、Streptococcus oralisが大多数を占めることが認められた。またラット動脈血の検索から8匹のラットに菌血症を生じたことも認められた。S.oralisが心内膜炎誘発に関わる病原菌であるかどうかを確認するため、同菌を用いて同様に感染性心内膜炎誘発能を調べたところ、デンタルプラーク中の菌量とほぼ同じ量で、心内膜炎が誘発されることが認められた。さらに主要臓器を摘出し、病理組織学的検索を行ったところ、心内膜炎発症ラットでは、ヒト心内膜炎で認められるのと同様の炎症所見が認められた。 以上の結果から、ヒトデンタルプラークは感染性心内膜炎の発症原として機能することが考えられた。 現在、次のステップである炎症誘発メカニズムの解明を目指して、デンタルプラーク中に存在するS.oralisなどの病原性レンサ球菌が血管内皮細胞に及ぼす影響を調べるための予備的実験を進めつつある。
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Research Products
(3 results)