2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17401026
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
菅谷 文則 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 洋彰 西南学院大学, 文学部, 教授 (70226760)
岡内 三眞 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90093210)
徐 光輝 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (70278498)
蘇 哲 金城大学, 社会福祉学部, 助教授 (90329441)
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (90250381)
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Keywords | 銅鏡 / 後漢 / 洛陽 / 周縁国家 / 朝貢冊封関係 / 東アジア交流 / 悉皆調査 / 弥生時代 |
Research Abstract |
前漢から後漢においての中国王朝は、内国の統治とともに周縁地域においても、積極的に朝貢冊封関係を行っていた。朝貢冊封関係を証明するものは「印綬」であるが、その発見は少ない。漢周辺の諸地域から多く出土する銅鏡こそが、漢から周辺地域-国家-に交流の証として持ち運ばれたものであったとする見分がある。 弥生時代には、後漢光武帝の死亡年に倭の使者が首都・洛陽に到着し、いわゆる金印を賜与され、持ち帰ったことはよく知られている。この頃から日本の弥生遺跡には大量の中国鏡(漢鏡)が副葬、あるいは日常生活での使用品として舶載された。 後漢の首都・洛陽では、1949年の新中国建国後に漢墓が多く発掘されてきたが、報告書が刊行されていないため、その実態はよく判明していない。また洛陽における銅鏡の出土数は従来、2000〜3000枚とされてきたが、写真等の詳細な資料が公表されているものは、洛陽焼溝漢墓の出土品など、全体の5%程度であった。 平成17年度の現地調査では、洛陽市考古第1隊所蔵の銅鏡を対象に行い、熟視観察の記録の作成と写真撮影を主とした。熟視観察は、銅鏡の法量測定、技法調査、断面実測、出土状況の確認、付着物の調査等を行い、写真撮影は6×7版カラーネガフィルム、モノクロフイルム、デジタルカメラで行った。本調査によって、洛陽市内を中心として発掘調査を実施してきた洛陽市考古第1隊が、建国後の約55年間に発掘した完形の銅鏡が202点であったことは意外に少量であった。大形鏡が少なく最大径のものでも22cmを超えることがなかったことも明らかにすることができた。平成18年度は洛陽市外を主として調査を実施してきた洛陽市考古第2隊の所蔵鏡を調査する。 国内における調査・研究の一環として、新中国成立以降に出版されてきた多くの考古学関係雑誌、報告書、研究書に収録されている銅鏡資料を悉皆的に収集し、整理を行った。その成果は平成18年度に研究成果の一つとして発表する。 本研究によって、後漢から西晋にかけての首都・洛陽における銅鏡の実態が判明し、さらには東アジア各地の地域王権と後漢の関係がさらに明確になると思われる。
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Research Products
(6 results)