2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17401026
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
菅谷 文則 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学部, 教授 (10275175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (50183067)
岡内 三眞 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90093210)
高倉 洋彰 西南学院大学, 文学部, 教授 (70226760)
蘇 哲 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (90329441)
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (90250381)
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Keywords | 銅鏡 / 洛陽 / 弥生時代 / 漢式鏡 / 洛陽工作站 / 画像鏡 / 方格規矩鏡 / 内行花文鏡 |
Research Abstract |
平成19年度は、主として中国社会科学院考古研究所洛陽工作站が収蔵する出土漢式鏡の悉皆調査を実施した。洛陽工作站では、総数267面(洛陽工作站136面、漢魏洛陽城隊45面、唐城隊86面)の出土鏡の調査を実施した。調査においては、データ作成、写真撮影(デジタルと中版フイルム)、断面図作成、銘文釈読、鋳鏡技術観察などの諸項目を調査した。鋳鏡技術観察では、鈕孔の型モタセ痕跡、鏡面のハバキ使用の有無、肌面と磨き上げの関係などを集中して調査した。 また、中国社会科学院考古研究所白雲翔副所長、洛陽市文物局郭引強局長を来日招聘し、日中共同による銅鏡鋳造実験調査および意見交換会、研究発表等の総合検討会を実施した。銅鏡鋳造実験調査では、漢式鏡の鋳造方法を明らかにするために、造范から鋳造までを行い、また各種の問題点について集中的に検討を行った。 以上の調査・研究の結果、洛陽出土鏡は、その末期以外はほとんど南方系の銅鏡が出土していないこと、後漢末期の南方系の銅鏡も大形の紹興鏡が数枚しか出土していず、中形の画像鏡も多くはなく5枚もなかった。この鏡式は日本ではかなり出土している。このことは、日本出土の中形の画像鏡は、洛陽を経由することなく伝えられた可能性が強いことが推定される。第2に、後漢後期の大形の方格規矩鏡と内行花文鏡が洛陽城の西方に多く分布しており、東方には少ないことである。この両鏡式は日本で最も多く出土している。日本は洛陽城の東方に位置し、いわゆる東夷に属している。日本で最も中心となっている鏡式が、洛陽の西方に多く分布していることは、説明が付かない。第3に、かつて悉皆調査を実施した山東系の草葉文鏡が、出土総数に対してその比率が低い。このことは,後漢代の銅鏡が、鋳造地から最大の消費都市である首都に集中してのち、各地で流通するということが積極的に肯定することができないことを示していると推認できる。
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Research Products
(4 results)