2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴うモンゴル国の水質悪化と土壌劣化の調査研究
Project/Area Number |
17404002
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
濱田 英介 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70300663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森茂 龍一 都城工業高等専門学校, 一般科目・理科, 教授 (10182263)
金澤 亮一 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (30390553)
河口 定生 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (20091366)
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Keywords | 環境変動 / 水質 / 地球化学 / 土壌劣化 / 地球温暖化 / 森林ステップ / 南北斜面土壌 / モンゴル |
Research Abstract |
モンゴル国の南部ゴビ地域およびその周辺の井戸等32地点の水質調査とウランバートル市から南部ゴビ地域に至る片道1,200Kmの行程で、5地点の南および北向きの丘陵斜面の表層土壌の植生・土壌特性を調査して、地球温暖化に伴う水質悪化と土壌劣化に及ぼす影響を検討した。水質調査の結果は、一般細菌数が3.0x10^1〜8.5x10^4CFU/ml、大腸菌群数が1.3〜4.4x10^3CFU/mlで、32地点のうち26地点(81%)が飲料水の水質基準に適合しなかった。無機イオン濃度は日本の井戸水に比べ概して高く、硝酸性窒素が10mg/Lを超える井戸が2地点、ヒ素は基準の0.01mg/Lを極わずか越える地点が7箇所、水銀は基準の0.0005mg/Lを超えるのが10地点であった。また、26地点につき各種イオン濃度より作成したヘキサダイヤグラムとキーダイヤグラムから、11地点がアルカリ土類非炭酸塩型、15地点がアルカリ土類炭酸塩型であることを確認した。この結果は、モンゴル国で過去7年間の調査で明らかになったモンゴルの水質がほとんど、アルカリ土類炭酸塩型であることに対して、南部ゴビおよびその周辺の水質は異なることが示された。また、調査コース途中で多くの放置された井戸を確認した。 モンゴルの森林ステップの北側丘陵斜面はscotch pineとwhite birchの樹木で占められ、林床の土壌水分は多く、黒色の土壌色を示し、土性はlight clayであった。しかし、Lena fescuとBluegrassの短茎草類を持つ南側斜面は日射量が多く、地温の上昇は著しく、さらに雪を含む降水量が少ないため、土壌は乾燥し、土壌は赤黄色を示し、風食により粒形の小さい粘土が減少し砂が増大したClay loamであった。さらに、土壌肥沃性の土壌有機物、窒素、イオン交換容量は、北側斜面より南側斜面土壌で著しく小さくなり、地球温暖化に伴う地温上昇は土壌生産性を疲弊させ、土壌劣化を促進すると推察した。
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