2006 Fiscal Year Annual Research Report
西ジャワ農村部における水系の化学物質汚染と学童の健康に関する人類生態学的調査
Project/Area Number |
17406015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 知保 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70220902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関山 牧子 サステイナビリティ学連携研究機構, 特任教員(特任助手) (90396896)
吉永 淳 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (70222396)
新村 哲夫 富山県衛生試験所, 環境保健部, 副主幹研究員 (80360808)
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Keywords | 西ジャワ / 社会医学 / 環境 / 有害化学物質 / 水質汚濁 |
Research Abstract |
1.ウンターパートであるインドネシア・パジャジャラン大学生態学研究所の協力を得て、西ジャワ農村部の4集落において、小学校高学年の学童250名とその父母から尿サンプルを採取した。収集した尿サンプルを用いて、有機リン系農薬の尿中代謝物を測定した結果、家族関係には村落差が見られた。すなわち、換金作物としての野菜栽培に集約している村落においては、子ども・母親の代謝物濃度よりも、父親の代謝物濃度のほうが高かったのに対し、それ以外の集落においてはそのような傾向は見られなかった。このことから、直接農薬散布を行う成人男性において、職業的な農薬曝露があることが示された。今後、さらに対象地域を都市部にも広げ、都市部と農村部での曝露状況を比較し、その差の原因や意義などについて検討する予定である。 2.地域における農薬使用状況、農薬使用後の健康影響、農薬に対する対象者の認識などについて、聞き取り調査を行った。8割以上の農薬散布において、WHO基準による「中程度以上に毒性がある」農薬が使用され、農薬の使用量や散布頻度などは自己流に実施されていた。マスクや手袋を使用する者は少なく、そのような対象者において、農薬使用後の健康被害が多く報告された。使用方法に関して、政府や組合などの介入はほとんどなされておらず、専門家による体系的な指導によって、農薬の健康影響を軽減できると考えられる。農薬使用の功罪については、罪としては健康影響よりも経済的負担が、功としては生産性・品質向上が指摘され、相対的には功の要素が大きいとの認識であった。このことから、今後も農薬使用状況は変化しないと想定される。
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