2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500085
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂井 公 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (20241797)
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Keywords | 不偏ゲーム / 逆形 / 可換モノイド / 逆形商 |
Research Abstract |
逆形の不偏ゲームの解析が,正規形の不偏ゲームに比べで困難なのは,逆形ゲームの全体とその直和が,正規形ゲームのような可換群をなさず,代数系としてみた場合に,きわめて込み入った構造を作るからであった。PlambeckやSiegelらは,不偏ゲームのあらゆる局面を扱うのではなく,実際にゲームに生じうる局面を中心に「局所化」したゲーム族に制限した構造に着目することで,そのゲーム族が特殊な2分モノイドをなすことに着目して,その代数構造を逆形商と呼んだ。 逆形商による分類は,従来はtameと呼ばれていたゲーム局面族の簡潔な特徴づけに成功し,さらにrestiveと呼ばれるより広い局面族をうまく分離した。この逆形商による分類が,より複雑な逆形不偏ゲームの局面の分類と必勝戦略の研究に,どのように寄与しうるかさらなる見通しを得ようというのが,本研究の目的である。 周期性定理を利用した計算機実験により,octalゲームと呼ばれるゲーム族の多くが有限の逆形商を持つことが分かり,その構造を調べられる。実際,個々のoctalゲームの多くに関しては必勝戦略が得られている。 しかしながら,例えばrestiveと分類されるゲーム局面の族はその逆形商の中に後手必勝の要素が2つしかないことで特徴付けられ必勝戦略も簡潔に記述されるが,より複雑なゲームに対しては,逆形商を用いてもこのような簡潔な特徴づけはまだ見出されていず,現段階では必勝戦略はかなり複雑な表の形で提示せざるを得ない。
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