2006 Fiscal Year Annual Research Report
家計管理能力回復プログラムの開発と生活支援アドバイザー制度導入に関する研究
Project/Area Number |
17500501
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西村 隆男 Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (40242375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松葉口 玲子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (30304562)
鎌田 浩子 北海道教育大学, 釧路校, 准教授 (60301959)
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Keywords | 多重債務問題 / 家計管理 / 生活支援システム / 生活設計 |
Research Abstract |
(1)国内調査として、前年に引き続き岩手県消費者信用生協および釧路市の今法律事務所において、利用者に関する現状把握と、家計カウンセング指導の状況を調査した。また、NPO女性自立の会、消費者教育NPO法人お金の学校くまもとにおける、利用者状況のヒアリング調査を行った。 (2)多重債務者問題研究会および、FCF(Financial Counseling Forum)の協力を受けて、家計管理カウンセリングの内容とプログラム開発、また資格導入の可能性につき数回の意見交換を行った。 (3)昨年収集したオーストラリア調査で収集したファイナンシャルカウンセリングに関する資料のうち主要なものを選択して、翻訳した。ファイナンシャルカウンセリングサービスは、債務過剰、失業、病気、家庭崩壊など種々の事情で経済的困難に陥った人を支援する非営利サービスである。相談者は低所得者が多く、98年以降、破産件数も急増していることがわかった。グリフィス大学のクレジット・消費者法センターによれば、司法省としても債務者支援と教育に予算増額を図るべきと提言している。 以上、それぞれの分担研究活動を持ち寄って、3名で4回(うち1回は2名)の研究会を横浜国大他にて開催し、多重債務者の生活再建には、家計管理能力のためのプログラム開発が不可欠であることが確認された。 (4)さらに、金融庁の要請を受け、貸金業法改正に伴う債務者のセーフティネットとしてのカウンセリングのあり方と、未然防止策としての消費者信用教育の必要性について、研究途上ではあるが、これまでの調査等を踏まえコメントを行った。その結果は、政府の多重債務者対策本部が検討中の、多重債務問題改善プログラムに一部反映された。 (5)また、海外調査としては米国調査を2007年9月に実施し、破産法改正後のカウンセリングシステムの変容と、州立大学エクステンションによる債務者教育の実情を聴取した。いずれも債務者対策として有効と推察されるが、債務者の本格的生活再建には課題が多いものと思料する。
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