Research Abstract |
1.目的 大気圧アルゴンプラズマを用いてNHiラジカル(NH_2,NH,N)を生成させ,排ガス中に注入することによりNOxを高効率に除去する研究を行っている。実用化に向けて酸素濃度適用範囲の拡大とモル比の低減およびスケールアップ法の確立が課題である。この課題の克服には,プラズマ内でのラジカル生成モデルおよびラジカルインジェクションによる脱硝反応メカニズムを明らかにする必要がある。 2.研究実績 荷電電圧,周波数,ラジカル剤のプラズマ内滞留時間等の種々のパラメータを変化させ脱硝率との関係を調べたところ,ラジカル剤がプラズマから受け取るエネルギー(エネルギー密度)が脱硝率に直接的に関与していることが明らかとなった。すなわち,ラジカルインジェクション脱硝法の実用化にあたっては,エネルギー密度が重要なスケールアップファクターとなる。この実験結果をふまえ,プラズマ内でのラジカル生成機構はRadiolysis, Charge transfer, Neutralization, Recombinationの4つの過程で起こるとして,プラズマ内での電子移動モデル,ラジカル生成・再結合モデルを考慮して計算解析を行った。計算によって得られたプラズマ内NHiラジカルの生成比率をもとに,NHiラジカルによる脱硝反応機構を構築した。プラズマ内ラジカル生成モデル,ラジカル脱硝反応モデル,3次元熱流体モデルをカップリングして,ラジカルインジェクション脱硝反応シミュレーターを試作した。計算解析と実験結果との比較から,新たに構築したモデルは,エネルギー密度に対する脱硝率の変化の傾向を表現できることがわかった。今後,各モデルの高精度化を進めていく必要がある。
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