2005 Fiscal Year Annual Research Report
看護師のジェンダー・アイデンティティが看護援助に及ぼす影響の実態に関する研究
Project/Area Number |
17510232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
兼宗 美幸 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (50214490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑後 幸惠 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (60310512)
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Keywords | ジェンダー / 看護師 / 看護援助 / 人間の性 / 継続教育 |
Research Abstract |
初年度にあたる17年度は、看護師の「ジェンダー」および「人間の性」に関するベースライン・データを得るため、全国的な質問紙調査を中心に行った。なお、新人看護師対象の調査はこの質問紙調査の結果から臨床経験の影響(期間と内容)が充分でないと考え次年度以降に変更した。 質問紙調査は、理解と協力を得た全国81病院の臨床看護師約7,000名を対象に、自記式質問紙を郵送法にて実施した。約6,000の質問紙を回収し、関東地方を中心に順次データ解析中である。関東地方では1687件を回収(回収率78.2%)した。平均年齢32.8歳、未婚者53.6%、子育て経験なし65.9%。臨床経験10.4年間、正職員95.0%で非管理職77.6%であった。「性」の言葉から連想した自由記載では「男女や性別」が24.0%で、「親性」や「ジェンダー」「性行動」「恥ずかしさ」は5〜6%にとどまった。また、臨床看護場面で「人間の性」に関する問題の遭遇体験は「なかった」28.2%で、「あった」は21.0%にとどまり、経験年数で相違があった。しかし、体験例は接触11.0%だけでなく、レイプも9.3%あった。以上から「ジェンダー」や「人間の性」の視点が充分でないことが予想された。 文献調査では「ジェンダー」「人間の性」に関する看護師の教育及び実践を収集した35文献から読み取った。平成9年度のカリキュラム改正以降は、両者とも教育内容に組込まれる傾向にあった。「人間の性」の視点は患者からの暴力またはセクシャル・ハラスメントおよび慢性疾患とともに生きる患者の生活上の問題の分析には生かされていた。しかし、「ジェンダー」の視点から看護実践を考察した文献は母性看護学領域に限定していた。 質問紙および文献調査から、「ジェンダー」や「人間の性」の視点による看護実践を考察や、過去のカリキュラム対象者の継続教育が必要と考えられた。
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