2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハイデガー哲学とその周辺を中心とする非対称的共同性の研究
Project/Area Number |
17520001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
後藤 嘉也 北海道教育大学, 教育学部函館校, 教授 (50153771)
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Keywords | ハイデガー / 非対称性 / 公共性 / ハイデガー学派 / フランクフルト学派 |
Research Abstract |
本年度は、〔A〕ハイデガー哲学のいわば内在的・歴史的研究をとおして非対称的共同性という問題を浮かび上がらせ、そのうえで〔B〕ドイツ系のハイデガーの周辺の哲学を踏査してこの問題を考究した。 〔A〕 (1)ハイデガーの存在することの思考が存在するもの、とりわけ人間が存在することの思考であることを跡づけた。存在するということのこの問いは、初期フライブルク時代やマールブルク時代では、人間の存在ないし生の思考である。1930年代後半における思考の転換以後にも、存在することは、存在するものが存在するということであり、存在するものとりわけ人間(自己および他者)から切り離せない。 (2)ハイデガーにおける共同性の論究を歴史的に追跡し、構造的に分析した。目立たないながらも自己と一人の他者との本来的共同性の可能性が排除されていないことは、初期から晩年にいたるさまざまな箇所から見出される。 (3)ハイデガーにおける非現前の契機に着眼し、自他の非対称性を明らかにした。まず、ハイデガーの真理と存在忘却・存在棄却とをめぐる発言から、非現前の契機の重大性が明らかである。次に、存在することが隠され現前していないというこのことは、自己以外の存在者、とくに他人とのかかわりで考えれば、自他関係の非対称性を意味する。 〔B〕 (1)ハイデガーの直接の弟子であるガーダマー、レーヴィット、アーレントの哲学を共同性に着眼して研究した。それぞれの哲学は、暗示的かつ明示的なハイデガー批判として理解される。それらの共通性は共同性・公共性がハイデガーに欠如しているということに見出せる。 (2)アドルノとハーバーマスのハイデガー批判について、共同性に着眼して研究した。公共性を断念したかに思えるアドルノとコミュニケーション行為の理論によって公共性を基礎づけるハーバーマスとの相違が、両者のハイデガー理解に影響している。
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Research Products
(1 results)