2005 Fiscal Year Annual Research Report
郷土文学受容についての通・共時的把握とその地域教養教育への活用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17520133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Morioka Junior College,Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
松本 博明 岩手県立大学盛岡短期大学部, 教授 (20310146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 民夫 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (60105070)
大石 泰夫 盛岡大学, 文学部, 教授 (50233028)
須藤 宏明 盛岡大学, 文学部, 助教授 (60275584)
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Keywords | 郷土文学 / 郷土教育 / 宮澤賢治 / 山崎和賀流 / 風土性俳句 / さんさ踊り / 岩手郷土文学の研究 |
Research Abstract |
岩手における郷土文学作品を通時的・共時的に把握すること、その作業を通じて文学作品における郷土性という問題に接近することを目的として、2回の研究会(岩手郷土文学研究会)を開催、そこで具体的な調査内容を次の7項目に整理した。1)郷土作家、郷土を題材とした文学作品の学校現場における受容。作品内における郷土、故郷など関係用語への言及についての分析。2)郷土読本、副読本など郷土教材の収集とその分析。3)校歌、市歌等歌詞に取り上げられる地名、郷土特有の用語の収集と検証。4)日本現代詩歌文学館等に寄贈された県内居住の詩歌人等からの寄贈本の内容整理と分析。5)県内発行の関係雑誌、新聞における郷土文学記事の収集とその調査分析。6)郷土作家、郷土作品を広めることに力あった政財界人の調査。7)郷土における民俗伝承の現在的機能。 以上の項目を念頭に各共同研究者において次のような具体的調査研究を行なった。 1)文学の教育現場における受容については、岩手県の教育現場に影響力を持った県教育会の機関紙『岩手教育』を悉皆調査し、その記事内容に郷土文学がどのように受容されているかを分析した。結果、岩手の教育現場において郷土文学が中央からの権威と修身教育教材生成という2つの視点で再発見されていったことが認められた。2)宮沢賢治の作品において「岩手県」という用語がいかなる機能を与えられて使用されているかについて調査分析考察した。3)湯田町に育った俳人山崎和賀流の作品を分析することで「風土性俳句」の郷土文学としての可能性について考察した。4)民俗伝承、特にさんさ踊りの現在的機能、教育的現場における伝承のありかたについて考察した。以上の調査・考察の成果は、補助金によって発行した『岩手郷土文学の研究』第6号(平成18年3月20日発行)ほかにそれぞれの研究者(研究協力者を含む)名で論文化し発表している。なお、当該雑誌は全国の研究機関、研究者に送付し、その批評を仰ぎ次年度の研究に活かすことになっている。
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