2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活文化産業の創出による中山間地域経済の再構築に関する研究
Project/Area Number |
17520538
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡橋 秀典 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (00150540)
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Keywords | 人文地理学 / 農村地理学 / 中山間地域 / 生活文化産業 / 観光産業 / 地域経済 / 景観保全 / 農家民宿 |
Research Abstract |
平成18年度は、農村型ツーリズムについて広島県の中山間地域における事例研究を学会で発表するとともに、生活文化産業を軸とした中山間地域経済の振興について理論的検討を行い、学会誌に論文として発表した。 1.広島県福富町竹仁地区における農村型ツーリズムの研究 生活文化産業が地域的に集積しているケースに焦点をあて、その地域振興に果たす意義について考察した。本事例からは、知識経済化時代の中山間地域の地域振興に求められるいくつかの要素が見出せる。行政への依存度の少なさと住民の自主性、ネットワーク型の組織、地域ブランド、新旧住民双方の関与と交流、来訪者とのコミュニケーション重視の販売形態、健康に代表される生活文化領域での提案、自然環境や景観の重視などである。これらの体系的検討は今後の課題であるが、それら一群のものの背後に「知の創造」があることを指摘できる。 2.生活文化産業を軸とした中山間地域経済の振興について理論的考察 中山間地域の経済は厳しい状況にあるが、地域社会維持に資する産業の再構築について検討を行った。グローバル化はローカルフードへの関心の増大など、中山間地域にとってプラスに作用する面もあり、こうした動きを受けて、農業を核として、農産物の販売、農産物加工、ツーリズムなどを産業融合的に展開させ、地域の活性化に成功している事例がある.こうした産業をここでは「総合生活文化産業」と呼び、また、この種の産業を核とした新たな経済の展開を「都市農村交流型農村複合化」として捉え、今後の中山間地域における農業振興、地域振興の方向性を明らかにした。 最終年度である来年度は、今年度の理論的検討をふまえ、事例地域の比較検討作業をさらに進めるとともに、生活文化産業の創出による中山間地域経済の再構築の方向性をまとめたい。
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Research Products
(2 results)