2006 Fiscal Year Annual Research Report
ノンバンクと銀行の戦略的提携に関わる理論的・実証的分析
Project/Area Number |
17530247
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Research Institution | SAPPORO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
飯田 隆雄 札幌大学, 経済学部, 教授 (00193136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 誠 広島大学, 大学院社会科学研究科, 教授 (30177084)
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
井澤 裕司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70222924)
森 伸宏 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (40190996)
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Keywords | 消費者金融サービス / 公的金融機関 / 混合寡占 / 借り入れ制約 / 過剰参入定理 / セカンド・ベスト |
Research Abstract |
研究発表で示した2編の論文を作成した。 第一論文は、消費者金融サービス市場において私的金融機関と公的金融機関が共存する混合モデルを構成した。 その際、資金調達市場を明示的に導入した。資金調達市場の金融機関が公的独占の場合には、私的独占の場合と違って、下流セクターでの企業数が過剰にも過少にもなりうることを示した。 第二論文は、借入制約に直面している中小企業のモデルを構成した。中小企業の資金調達先として、銀行とノンバンクの二つの金融機関を考えた。 銀行から借り入れる均衡とノンバンクから借り入れる均衡の二つが存在することを示した。さらに、中小企業が銀行から借り入れる均衡において、ノンバンクから借り入れる方が社会的に見て効率的であり得る場合が生じルことを示した。この結果はノンバンクの経済厚生上の意義を示している。 金融ビックバンに関して、金融サービス産業の規制緩和の進展とともに、この産業の置かれた市場構造や競争の実態、ノンバンクと銀行の業務提携などを、ミクロ経済学の理論を応用して分析したものである。特に、「次善の社会的厚生最大化」「コンテスタブル市場均衡」「自由参入均衡」などの概念を用いながら、「過剰参入定理」と「不完備情報」の問題に焦点を絞って分析した。代表的な結論として、公的金融機関を競争に参加させることによって経済全体のパフォーマンスが改善される可能性があり、「公的金融機関の存在意義」を明らかにした。また、消費者金融サービス会社に一定の金額を支払い、返済率の異なる顧客を識別するノウハウを獲得する誘因が、銀行側にあることを示した。近年の我が国における消費者金融サービス市場の実態を踏まえ、情報生産機能の強化(あるいはコスト削減)に注目した点で大きな意義を持っている。
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Research Products
(2 results)