2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヴォルガ・ドイツ人と大飢饉-1921-22年を中心に
Project/Area Number |
17530274
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 健夫 Waseda University, 政治経済学術院, 教授 (30063746)
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Keywords | ヴォルガ・ドイツ人 / 大飢饉 |
Research Abstract |
研究課題「ヴォルガ・ドイツ人と大飢饉-1921-22年を中心に」に関連する図書をノースダコタ大学図書館内の《Germans from Russia Heritage Collection》から購入し、その図書の分析をも踏まえ、平成18年度に分析を開始していたヴォルガ・ドイツ人女性アンナ・ヤネッケの半生について、論文「ヴォルガ・ドイツ人女性アンナの生の軌跡-戦争・革命・飢餓・国外脱出」(鈴木健夫編『地域間の歴史世界-移動・衝突・融合』早稲田大学出版部、平成20年3月所収)を執筆した。この論文は、「クラーク」の烙印を押されたヴォルガ・ドイツ人家族に生まれた-女性が不慮の事故に遭遇しながらも第一次世界大戦・社会主義革命・内戦を生き抜き、そして大飢饉のなかを1921年から1922年にかけてドイツに脱出していく姿を彼女自身の手記(1937年刊行)によって明らかにしたものであり、その飢饉時のヴォルガ・ドイツ人の地域および人々の状況が生々しく伝えられていると考える。 また、ヴォルガ・ドイツ人が1921-22年の飢饉時にドイツやアメリカに悲惨な飢餓状況を報告し救援を求めて書き送った手紙を資料集としてまとめる作業をした。この手紙から当時の歴史的現実が浮き上がってくる。 他に、サラトフ大学のゲルマン(A.A.ГepMaH)教授とプレーヴェ(И.P.ПлeBe)教授の共著HeмцЫ ПоволжЬя:Краткий историчексий очерк(CapaToB、2002)を半谷史郎氏と共訳し、翻訳書『ヴォルガ・ドイツ人--知られざるロシアの歴史』(彩流社、平成20年4月)を完成させた。この書物においても1921-22年の大飢饉は重要な位置を占めており、その紹介は非常に貴重である。
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Research Products
(2 results)