Research Abstract |
本年度の研究実績は,以下の2点である. 第1は,芸能ビジネスの事業領域に関する文献研究である.近年の芸能ビジネスは,他のエンターテイメントビジネスと同様に,情報技術の発展に伴い,事業領域を拡大している.音楽事業を例にあげると,インターネットや携帯電話での音楽配信にみられるように,新しいメディアによる事業が展開されるようになった.映画等の映像事業においても,多チャンネル化の進展により,コンテンツ製作の手法も変わりつつある. このような現状から,従来の芸能ビジネス関連事業が広範囲に及ぶにつれて,本研究の対象である芸能プロダクションの取引関係はより複雑になっている.そこで,本年度は,情報技術の進展により拡大した,芸能ビジネスの新たな事業領域に関する文献研究をおこなった. 第2は,分析範囲および分析枠組みを明確にするための調査である.前述のように,近年の芸能ビジネスの領域は,急速に拡大している.したがって,これまでの研究で設定していた分析範囲や分析枠組みでは,実態の分析が困難になっている. そこで,まず最初に,上述の文献研究に加えて,過去3年間のエンターテイメントビジネスに関する雑誌や新聞等の資料をもとに,現状に即した分析範囲を設定しなおした.次に,その分析範囲と本研究の問題意識から,新たな分析枠組みを作成するためのパイロット調査をおこなった.調査対象は,従来から研究対象であった芸能プロダクションとテレビ局,映画会社,広告代理店に加えて,インターネットによる音楽や映像配信企業である.パイロット調査の結果は,現在,分析をおこなっている.この分析結果を踏まえて,エンターテイメントビジネス全体からみた芸能ビジネスの位置づけ,さらに,本研究の分析枠組みの精緻化に取り組む予定である.
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