2007 Fiscal Year Annual Research Report
ベンチャー企業の成長におけるマーケティングの役割についての実証研究
Project/Area Number |
17530318
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
竹村 正明 Meiji University, 商学部, 准教授 (30252381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弘中 史子 明治大学, 滋賀大学経済学部, 准教授 (10293812)
王 恰人 明治大学, 流通科学大学商学部, 准教授 (20290538)
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Keywords | ベンチャー企業 / マーケティング / 成長 / 適応 / ネットワーク |
Research Abstract |
本年度の研究成果は,ベンチャー企業の成長におけるマーケティングの役割を実証的に明らかにできたことである。ベンチャー企業はマーケティング技術の巧拙によって,成長を実現することが,フィールド調査で明らかになった。 ただし,いくつかの注意すべき課題も明らかになった。ひとつは,ベンチャー企業と中小企業の区別である。調査対象のベンチャー企業は,シリコンバレーのそれとは違って,必ずしも画期的な技術力だけでなく,当初よりマーケティング技術で成長をしていた。われわれは当初,ベンチャー企業は営業部門を持つのは難しいと予想していたのだが,彼らの先進的な技術を売り込まなければならないことに気づいていた会社がある。そういった会社はマーケティング技術や営業によって成長していた。 しかし,この発見から中小企業に対して営業部門を設置すべきである,という規範を述べることは避けなければならない。ベンチャー企業と違って,中小企業は規模の成長を求めていないことが多いことを発見したからでもある。ベンチャー企業は,規模の成長によって存立根拠を主張できるようであるが,中小企業は決してそうではない。というのは,われわれが調べた中小企業は,規模の成長よりもイノベーションの持続的構造に主張点があって,その創意工夫こそが彼らの存立根拠だからである。 ベンチャー企業論の先行研究には,決して明示的ではないが,規模の成長を認めているものが多い。それは結局のところ,二重構造論であり,それゆえに中小企業を大企業の成長になぞらえてマーケティング技術の導入を説くのである。われわれが十全の解決モデルを提案できたわけではないが,二重構造論をこえたところに中小企業のオリジナルな成長モデルが構築できるはずである。
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