2005 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの農村における貧困層への援助と社会開発-クミッラ県での実態調査-
Project/Area Number |
17530385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sendai University |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 仙台大学, 体育学部健康福祉学科, 助教授 (80289751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一彦 秋田桂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (40259304)
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Keywords | 市民社会 / well-being / 現地NGO / 社会開発 / 援助 / クミッラ県 / 貧困女性 / 子ども |
Research Abstract |
平成18年3月9日から3月23日までバングラデシュ人民共和国(以下バングラデシュと称す)に滞在し、現地での調査を実施した。訪問先は、ユニセフ・バングラデシュ、BRAC(現地NGO)ヘッド・オフィス、BRAC University、BRAC図書館、アーロン、グラミン銀行ヘッド・オフィス、NGO局、内閣の政府役人宅、ブック・センター、University Pres Limited、カリポリ、ショナルガオンホテル(日本ODAによる)シェラトンホテル(以上ダッカ市内)及び、BARD図書館、BARD政府役人宅、BRACのエリア・オフィス及びメンバー(10世帯)、グラミン銀行ブランチ・オフィス及びメンバー(11世帯)、ASA(現地NGO) のブランチ・オフィス、コトワリ郡の農家及び農場(以上クミッラ県)である。調査方法は、各関係機関のスタッフとメンバーからの聴き取り調査及びBRACとグラミン銀行のスタッフへのアンケート調査による。 クミッラ県は、東パキスタン時代にアメリカ主導による「コミラモデル」=緑の革命が他県に先駆けて導入されている。その後日本ODAによる橋梁建設及び「モデル農村開発計画」が供与されている。こうした日米主導による援助・開発の影響を受け、当該地域では、乾季に行われる近代農法が推進されてきた。だが、近代農法を実施できるのは一定以上の地主層に限定されている。このような援助や開発の影響を受け、雨季には農業労働者として日当さえ得られない貧困層があふれている。また、このような援助や開発によるしわよせは、貧困女性や子どもに及んでいる。 こうした状況に対して、BRACやグラミン銀行といった市民社会が、貧困女性や子どものwell-being実現を目指してさまざまな活動を展開している。それは、外国主導による上から下への開発とは本質的に異なり、農村内での格差をむしろ否定するような方向に働いている。
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