2007 Fiscal Year Annual Research Report
地域メディアとしての有線放送史研究 〜日本放送史における有線メディアの実態
Project/Area Number |
17530400
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂田 謙司 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 教授 (70388081)
|
Keywords | 有線放送 / ラジオ共同聴取 / 地域メディア / 放送史 |
Research Abstract |
最終年度である平成19年度は、これまでに実施した調査結果を分析し、そこから追加調査が必要な箇所の選定と調査を行った。具体的には、上富良野町の有線放送関係者へのインタビュー、及び常呂町の有線放送関係者へのインタビュー及び資料の譲渡であった。また、図書館での資料発掘作業も平行して実施し、これまでの研究期間で収集した資料の整理及び成果還元を一部であるが実施した。 今年度特筆すべき成果としては、常呂町の有線放送関係者からのSPレコード譲渡であろう。昨年度の調査に於いてすでにインタビューや資料の譲渡を受けていたが、今年度はさらに貴重な資料として、1950(昭和25)年のラジオ共同聴取施設(後の有線放送)開設記念で実施された関係者の座談会を収録したSPレコードを譲渡された。しかし、経年の劣化によって盤の状態はきわめて悪く、その再生と内容の確認には尚時間を要すると思われる。 3年間の研究期間を通じて発見・収集した資料は、農協史関係で65点、市町村史関係で38、その他で3点の計106点におよんだ。その他、直接的な資料や関係者へのインタビューなども実施した結果、北海道におけるラジオ共同聴取に始まる有線放送の歴史的な経緯がある程度明らかになった。戦前期から計画を持っていたのはNHK編の「20世紀放送史」に記されている喜茂別村以外に、上富良野村でも計画されていた。また、戦後も1940年代末にはラジオ共同聴取が開始され、1950年には先述の常呂町のような施設も登場している。 今後、これらの資料の整理及び分析を通じて、北海道という地域性と有線放送がどのような関係にあったのかを明らかにしていきたい。なお、成果発表に関しては、仮題「非営利放送とはなにか」(ミネルヴァ書房より平成20年度秋出版予定)に論文が収録される予定である。
|