2007 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児を対象とした実行機能の評価に関する基礎的研究:行動面と生理面からの検討
Project/Area Number |
17530471
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
惠羅 修吉 Kagawa University, 教育学部, 教授 (70251866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 重治 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (10194276)
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Keywords | 実行機能 / 事象関連電位 / P3(00) / 発達障害 / 認知機能評価 / 語想起課題 |
Research Abstract |
本研究では、発達障害児を対象とした実行機能の評価方法を開発するための基礎的検討を行うことを目的とした。本年度は、第一研究として、健常者を対象とした語想起課題における実行機能の役割に関する検討を継続実施した。実行機能を反映する課題として語想起課題を用いた。語想起課題とは、ある共通属性を有する単語を限定された時間内で可能な限り多く再生するという長期記憶からの単語検索・産出課題である。本研究では語頭音手がかりによる語想起課題とした。日本語における語彙数の影響を確認するため、語彙数の多い語頭音と語彙数の少ない語頭音をそれぞれ2音ずつ選択した。総再生数と時間経過による再生率変動の2つを行動指標として取り上げた。生理指標としては、事象関連電位P3成分(刺激提示後300ms前後で頭頂優位に頂点を形成する陽性成分)について測定した。研究代表者がこれまで用いてきた聴覚オドボール事態による手続きを採用した。分析の結果、語想起課題における時間経過により再生率変動と前頭部P3振幅との間に負の相関が認められた。このことから、再生率変動が前頭葉機能である実行機能をよりよく反映している可能性が示唆された。第二研究として、発達障害児を対象とした検査を実施した。また、補足的研究として、定型発達の小学校低学年児童を対象とした検査を実施した。いずれも総再生数と時間経過による再生率変動について分析した。発達障害児については、時間経過による再生率変動が全般的知能と関係していることが明らかとなった。定型発達の子どもにおいては、学年により時間経過による再生率変動のパタンが異なることが推察された。 本年度は、最終年度であり、研究の総括を行った。本研究の成果が国際的な研究動向のなかで如何なる位置づけになるか再確認するために、改めて文献を展望する論文を作成した。第一研究と第二研究の成果と文献的展望をあわせて報告書を作成した。
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Research Products
(3 results)