2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の対話的自己を育てるための葛藤解決訓練プログラムの開発
Project/Area Number |
17530480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 豊 熊本大学, 教育学部, 助教授 (60238590)
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Keywords | 対話的自己 / 認知的・社会文化的葛藤 / peer tutoring / 葛藤解決プログラム / コミュニケーション能力 / 幼児期の発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児期の子どもを対象に仲間同士のトラブルや意見の食い違いによって生じる様々な葛藤(認知的,情動的,社会文化的)に焦点を当て,子ども一人ひとりがそれらの葛藤と向き合い,互いに納得いくまで話し合う活動を通して,お互いの相容れない思考や感情を調整・解決するコミュニケーション能力を育てるプログラムを開発することである。平成17年度(初年度)は,まず理論的側面から他者との葛藤が子どもの発達に及ぼす影響について,特にpeer tutoringの問題に焦点を当て,子ども同士が主体的に教え合い-学び合う関係とは何か,子どもの主体性もしくは主体的な学びを育てる関係のあり様について,日本発達心理学会第17回大会において自主シンポジウム(「子どもの発達の足場作り」)を企画し議論を深めた。次に実験的側面から「認知的葛藤」と「社会文化的葛藤」に焦点を当て,それぞれ2人一組で課題を解決するプロセスについて実験を行い,分析作業を進めている。認知的葛藤については,機織り課題(藤田(2001,2004))を用いて,i操作内容(リボンを通す"対象操作"or自分がリボンになる"自体操作")ii遂行条件(2人で一緒に手を繋いでorお互い自由に)の2要因を操作し,特に,課題遂行エラーが年少から年中にかけて増大し年長で再び減少していく背景には,葛藤の意識化の程度と共同で互いの意見の食違い(認知的葛藤)を解決していく力とが相互に作用していることが示唆された。次に,社会文化的葛藤については,藤田・丸野(1999)で用いた分配課題を用いて,複数の場面設定(仕事量や内容の差異,怪我や空腹への配慮など)によって子どもたちが分配の仕方をどのように話し合いながら決めて行くのか相互作用場面をビデオに録画し,2人一組で話し合うプロセスのプロトコルを抽出して,現在は意見の食違いと社会文化的価値観とがどのように関連しているか,質的な分析作業を進めている。
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