2006 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の対話的自己を育てるための葛藤解決訓練プログラムの開発
Project/Area Number |
17530480
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 豊 熊本大学, 教育学部, 助教授 (60238590)
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Keywords | 対話的自己 / 認知的葛藤 / 情動的葛藤 / peer tutoring / 話し合い活動 / 保育観察 / 葛藤解決プログラム / コミュニケーション能力 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児期の子どもを対象に仲間同士のトラブルや意見の食い違いによって生じる様々な葛藤(認知的,情動的,社会文化的)に焦点を当て,子ども一人ひとりがそれらの葛藤と向き合い,互いに納得いくまで話し合う活動を通して,お互いの相容れない思考や感情を調整・解決するコミュニケーション能力を育てるプログラムを開発することである。平成18年度(計画次年度)は,特に,「認知的葛藤」と「情動的葛藤」に重点を置き,子どもたちが普段の幼稚園や保育園での生活の中で,お互いの考えや気持ちが衝突し合う課題場面とはどのようなものか,そこでの子どもたちの解決方法はいかなるものかといった視点から実験・観察研究を行った。まず「認知的葛藤」については,折り紙構成課題を用いた教え合い-学び合い(peer tutoring)の実験場面を設定した。現在は,(1)相手の視点に立った教え方について学ぶ機会が,その後の教え手の教授活動にどのような影響を及ぼすか,(2)認知的葛藤を意識化できる場面とそうでない場面とでは,教え手の教授の仕方や学び手との理解の共有の仕方にどのような差異が見られるかにという観点から分析を行っている段階であり,最終年度(H19)内に論文に纏める計画である。次に「情動的葛藤」に関しては,実験研究よりも観察研究を優先させ,平成18年4月から平成19年3月まで市内の幼稚園に協力を依頼し,年少児から年長児まで1年間にわたる子どもたちの園内での集団保育場面や自由保育場面の観察を行い,普段の園生活の中で,子どもたちのけんかやいざこざが起こる場面や自由に自分たちの考えや気持ちを言い合う話し合い場面に注目した。現在は観察ノート・音声ビデオデータに基づいて,子どもたちが関係の中でお互いを認め合う様子や子どもたちの自律的な関係を支える保育者の支援のあり様について,発達的変化の視点も含めながらエピソード単位で観察内容を整理し纏めている段階である。
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