2007 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の対話的自己を育てるための葛藤解決訓練プログラムの開発
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17530480
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 豊 Kumamoto University, 教育学部, 准教授 (60238590)
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Keywords | 幼児の対話的自己 / 認知的葛藤 / 情動的葛藤 / 社会・文化的葛藤 / 話し合い活動 / コミュニケーション能力 / 葛藤解決プログラム / 保育場面 |
Research Abstract |
本研究の目的は、幼児期の子どもを対象に仲間同士のトラブルや意見の食い違いによって生じる様々な葛藤(認知的、情動的、社会・文化的)に焦点を当て、子ども一人ひとりがそれらの葛藤と向き合い、お互いの相容れない思考や感情を調整・解決するコミュニケーション能力を育てるプログラムを開発することである。平成19年度は、計画最終年度として、平成17、18年度に実施してきた実験・観察研究で得られた知見を加えて、葛藤解決に至るまでの段階モデルの作成と段階間を移行して行くための具体的な発達援助の方法を構造化する作業に取り組んだ。年度前半は、本研究で不足していた「社会・文化的葛藤」と「情動的葛藤」課題について、データ分析の追加と補足実験を行った。前者については主に分配場面での子ども同士の話し合いを通した葛藤解決プロセスの質的分析を子どもたちのプロトコルに基づいて行った。後者については、物の所有や使用する順番に関していざこざが生じた際に、子ども自身が相手と心理的な距離を取りながら、お互いの欲求や感情や意図の理解を容易にする人形劇課題を用いた解決プログラムの効果について検討を行った。この2つの作業と並行しながら、平成17年度から継続している幼稚園や保育園での保育観察の中から、保育場面において日常的に繰り返される子ども同士のいざこざ場面での言語・非言語的やり取りのプロトコルを分析し、子どもたちの視点から自然な課題場面の設定の仕方や、子ども同士のやり取りを子ども同士が主体的にコントロールできる方法について検討を重ねた。年度後半は、これまでの研究知見を総合して、「認知」「情動」「社会・文化」の3領域にわたる葛藤解決プログラムを作成中である。
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