2005 Fiscal Year Annual Research Report
非血縁親子が育む家族機能と子どもの親理解・自己理解
Project/Area Number |
17530490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
古澤 頼雄 中京大学, 心理学部, 教授 (00060632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 庸子 鎌倉女子大学, 児童学部, 専任講師 (10288102)
塚田 みちる 中京大学, 心理学部, 助手 (20410631)
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Keywords | Open adoption / テリング / 非血縁家族 / 自分史 / 発達支援 |
Research Abstract |
1.研究の目的:(1)"親になる第二の選択(second route to parenthood)"、あるいは"本当の親子(real parent and real child)ではない"などと言われている非血縁家族(とくに幼年養子縁組による家族)の子育てが、血縁家族よりも、親が抱く負担感が少なく、家族の絆を強く感じ、生きがい感が高いという先行結果が、最近子どもを迎え、育てている非血縁家族にあっても同じようであるかを検証し、家族機能(とくに親子ともに育つ機能)が当該家族において生成される過程を明らかにする。(2)非血縁家族において育つ子どもたちが、"育て親"に加えて"生みの親"がいることをテリングによって理解し、そこから親像の形成・理解を含んだどのような自分史を形成するかを検証する。 2.本年度の研究成果:育ての親によるテリングが子どもの年齢によってどのように変化するかという研究目的(2)に焦点をあてて検討された。まず、それぞれの家庭において試みられているテリングのエピソード記録および家庭訪問時における聞取り、さらには、育て親達の会報に掲載されているテリングに関する記録などを分析して、次のような結果を得た。乳児期のテリングが子どもの理解を期待する以前に親にとっての意味を持っていること、3歳頃と就学頃にテリングの節目を感じる育て親が多いこと、思春期以降のデータ分析はまだ十分ではないものの様々な葛藤が生じる可能性が示され、そこでは育て親たちのネットワークが重要なサポ-ト資源となり得ることが見出された。さらに、このような育て親によるテリングが子どもの自分史形成に与える影響については、乳幼児期におけるエピソード記憶から育て親、生みの親の表象の形成、育て親の語りと子どもの想起様態との関係、メタ認知の成立、青年期に入っての根づき感の獲得などが重要な意味をもっていることを予想され、今後検討すべき課題となった。
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Research Products
(1 results)