2006 Fiscal Year Annual Research Report
非血縁親子が育む家族機能と子どもの親理解・自己理解
Project/Area Number |
17530490
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
古澤 頼雄 中京大学, 心理学部, 教授 (00060632)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 庸子 鎌倉女子大学, 児童学部, 専任講師 (10288102)
塚田 みちる 中京大学, 心理学部, 助手 (20410631)
|
Keywords | 非血縁家族 / テリング(真実告知) / 親理解 / 自己理解 / 発達支援 |
Research Abstract |
本研究は、幼い子どもを養子に迎え育てる家族の家族機能生成につながる4つの過程、すなわち、(1)夫婦関係の質的変容、(2)子どもを育てる心の準備、(3)親子が信頼しあう家族の構築、(4)家族同士の共存に着目し、NPO「環の会」の協力を得て遂行しているものである。平成18年度においては、この様態を最も端的に示す育て親の子どもへのテリングに焦点をあてて協力家庭におけるやりとりを子どもの年齢にあわせて検討した。 具体的には、テリングを行っている育て親家族の協力を得て、家庭訪問によるインタビューや、育て親によるテリング日誌の作成を依頼し、継続的に調査した。得られた成果は次のようにまとめられる。 1)子どもがテリングを嫌がる時期の存在について 新生児期・乳児期から継続的にテリングしてきた親子において、子どもが一時的にテリングを嫌がる態度(泣く、怒るなど)を示す傾向が見出された。子どもは、前言語期であっても、話している時の親の表情を参照したり、語りのリズムなどをとらえながら、テリングに反応していると考えられる。 2)親理解の進展について 「4歳の子どもが『みんなお母さんが二人いる』と思っていたので驚いた」というように、テリングの進行途上では子どもの理解に混乱がみられることがある。また、生みの父親にっいての情報が圧倒的に少ないため、「母親が二人いるとわかっていても、父親は一人だと思っている」と、父親についてのテリングに難しさを感じる育て親が多い。実体として生みの親の存在を理解し、自分が育て親に託された理由を問い始めるのは、児童期以降になってからである。 3)思春期にかけての子どもの出自の理解 小学校高学年になると、子どもの心に出自をめぐる葛藤がみられることがあり、この理解の過程における育ての親の関わりが微妙な変化を子どもにもたらすことがみられる。
|