2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ感情とコーピング機能を操作因子とした適応への縦断的介入研究
Project/Area Number |
17530510
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
山崎 勝之 Naruto University of Education, 学校教育学部, 教授 (50191250)
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Keywords | 正感情 / 「正の意味を見いだす」コーピング / 健康 / 自己推進型健康増進プログラム |
Research Abstract |
昨年度の研究では、正の意味を積極的に見いだす(FPM)コーピングが正感情を高めたものの、健康を増進しなかった。そこで本年度は、方法論上の問題を改善した上で、FPMコーピングから正感情ならびに心身健康への影響を検討する介入研究を実施した。その改善点は、ストレス事象の報告時に負の感情表出を禁止しないこと、さらに、介入期間を前回の5週間から9週間に延長したことであった。 60名の男女成人を対象に、全9週間に及ぶ介入研究を実施した。介入は、ストレス事象に正の意味を積極的に見いだすFPMコーピングの増進を目指した。介入群と統制群を設定し、介入群では、電子メールを介して週に2回のストレス事象の報告とそれに対するFPMコーピングを行った。他方統制群では、ストレス事象の報告だけに限定した。さらに、両群とも2週に一度実験室を訪問し、課題の遂行状況を確認し、その遂行上の問題の指摘や、特に介入群では、介入操作の徹底をはかった。測定方法は、ポジティブ感情とネガティブ感情の測定に日本版PANAS、コーピングの測定にGCQを使用し、健康では、心身の健康に日本版GHQ、さらに抑うつに日本版CES-Dを使用した。これらの尺度を、介入前、介入開始後5週間、介入終了直後(介入開始後9週間)に、両群に同時実施した。 その結果、介入5週の時点で、正感情は高まり、健康(社会的活動障害と抑うつ)も改善された。この結果は、介入9週後にも確認された。時間的なずれを設定した上での階層的重回帰分析の結果では、コーピングが正感情を高めたこと、そしてその正感情が健康を高めたことが確認され、また、FPMコーピングも時間をかければ健康を増進する可能性が示唆された。 この後、3年間にわたる研究結果をもとに、FPMコーピングと正感情を介入操作子とする自己推進型健康増進プログラムが開発され、一次から三次までの予防プログラムとして用意された。
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