2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530638
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
本多 佐保美 千葉大学, 教育学部, 助教授 (90272294)
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Keywords | 国民学校 / 芸能科音楽 / 音楽授菜実践史 / 東京高等師範学校附属小学校 / 昭和10年代 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国民学校期(昭和16〜22年)を含む昭和10年代の音楽教育の歴史を、特定の学校の事例研究をとおして読み直し、当時の音楽授業実践の諸相を明らかにすることである。 平成17年度は、まず東京高等師範学校附属小学校(国民学校)を調査対象として、6〜7月に同校(現、筑波大学附属小学校)資料室の資料調査を実施した。『唱歌科教授細目』、『教育研究』臨時増刊号、「カリキュラム研究発表会」資料、百年史等を閲覧・収集し、8〜9月にかけてその分析を行い、平成17年10月29日、琉球大学における第36回日本音楽教育学会において「戦前から戦後にかけての唱歌科・音楽科の教育内容構成の変遷-昭和10年代から20年代の東京高等師範学校附属小学校・国民学校の実践を中心として」と題する口頭発表を行った。当該時期の同校での音楽授業は、井上武士、小林つやえの二人の訓導により、歌唱指導と鑑賞指導を中心に行われていたが、器楽指導はそれほど活発には行われていなかった。当時の授業案等から、読譜指導などの基本練習(基本教練)の系統的指導の様子が明らかになった。こうした授業構成は、国民学校期芸能科音楽における制度的側面と比較して興味深いものであり、ここから焦点化し、次年度には、井上武士による基本練習指導、とくに唱歌絵掛図を用いた指導の実際および戦後音楽教科書へのつながりについて解明していく予定である。 他方、比較対象校として長野県における事例調査実施のため、平成17年度には予備的調査として、9月に長野県立歴史館への資料調査、11月に飯田市立座光寺小学校等への資料調査、さらに平成18年3月に上田市立清明小学校等への調査を実施した。現在は収集した資料、学校日誌等の整理・解読をすすめているところである。
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