2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530679
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
下田 好行 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (70196559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 文三 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 部長 (30231096)
有元 秀文 国立教育政策研究所, 教育課程センター基礎研究部, 総括研究官 (40241228)
四方 義啓 名城大学, 総合数理教育センター, 教授 (50028114)
榊原 保志 信州大学, 教育学部, 教授 (90273060)
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Keywords | 学習意欲 / 教育課程部会 / 活用型の教育 / キーコンピテンシー / 知識技能を実生活に活用する力 / PISA型読解力 / ホリスティック / 教材開発 |
Research Abstract |
今、学力向上が叫ばれている。しかし、学力向上の前に児童生徒の学習意欲の喚起のほうが先決問題である。児童生徒がその気にならなければ、結局学力は定着しないからである。ゆえに、児童生徒の学習意欲を喚起させるような学習指導法、教材開発が重要になってくるのである。また現在、中教審教育課程部会『第3期教育課程部会の審議状況について』において、「習得型・活用型・探求型の教育」が示されている。しかし、こうした教育は方向性としては示されているが、具体的な中身がまだない。そこでこの研究では、児童生徒の学習意欲を喚起させるような「活用型・探求型の教育」の教材開発の枠組みを開発し、学校現場の授業実践を通して検証することを目的とした。まず、中教審教育課程部会(平成19年1月23日)に位置づくものとして「知を活用する力」に着目した教材開発の枠組みを開発した。この枠組みは二つの方法で構成されている。一つは学習内容と現実社会・職業(製品・技術)・人間とのつながりを図る教材開発の方法である。学習内容が現実社会・職業(製品・技術)のなかで、また、人間とのつながりのなかで、どのように活用されているかを理解することによって、児童生徒は今行っている学習の意味を把握することができる。このことによって児童生徒の学習意欲は喚起されていく。二つめの方法は「授業のリアルな環境構成」である。これはとかく「ごっこ遊び」となりやすい授業の空間を生の現実社会の空間そのままに環境構成するものである。授業で学習した内容が授業のなかでもそのまま活用されるように、授業自体の環境を仕組んでいく方法である。筆者はこの二つの方法をもって、「知を活用する力」に着目した教材開発の方法とした。この枠組みを用いて中学校数学と算数で、教材開発、授業実践を行った。中学校数学は「連立方程式」の学習内容が、病院の医療器具であるCTスキャンに活用されている事実を教材化したものであった。この授業実践は、学習内容と現実社会・職業(製品・技術)・人間とのつながりを図った教材開発であった。また、算数では、「立体」の授業で、授業で学習した内容を活かしてペン立てを作り販売するものであった。この授業実践は「授業のリアルな環境構成」であった。いずれの授業実践においても児童生徒の学習意欲は喚起された。次に、中教審教育課程部会の「活用型の教育」として、PISA型リテラシーをあげることができる。PISA調査自体が「知識・技術を実生活に活用する力」を測定しているからである。そこで、筆者は「PISA型読解力の「熟考・評価」を高める教材開発の枠組み」を開発した。PISA学習到達度調査2003では、日本の生徒の「読解力」の低下が指摘された。特に日本の生徒は「塾考・評価」の能力が低いことが分かった。そこでこの研究では、「熟考・評価」を高める教材開発の枠組みを開発した。「熟考・評価」の能力は、理解領域よりもむしろ表現領域においてわれることから、理解領域と表現領域をリンクさせた教材構成を提案した。もともと言語活動自体が「表現」と「理解」と離れて存在するものではなく表裏一体のものであるからである。また、「熟考・評価」は単に批判的に読む(クリティカル・リーディング)のではなく、テキストと距離を置き鳥瞰的な視点でテキストを構造的に捉える読みが必要である。このためにテキストの他に、サブテキストを用意し、「比較」という認識作業を通すことにした。このことによってテキストのテーマと自己の内面の価値観と照らし合わせながら、真の意味での「熟考・評価」の能力を育成できるようにした。このような教材構成のあり方を筆者は「教材のホリスティックな構成」と呼ぶことにした。この枠組みに基づき、教材を開発し、授業実践を通して、その有効性について検証した。開発された教材を使った授業実践では、児童生徒の学習意欲を喚起し、「熟考・評価」の能力も高めることができた。
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Research Products
(4 results)