2006 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児の示す行動障害に対する全校的行動支援プログラムの開発
Project/Area Number |
17530685
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野呂 文行 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (30272149)
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Keywords | 発達障害児 / 特別支援教育 / 自己監視手続き / 応用行動分析学 / 学級全体への支援 / 目標設定 / ポジティブ・フィードバック |
Research Abstract |
今年度は、通常学級に在籍する軽度発達障害のある児童に対して、1)通常学級内で授業参加が困難なアスペルガー障害児童に対する自己監視手続きの適用,2)目標設定とポジティブ・フィードバックの導入による日課活動への参加の促進効果の検討、という2つの観点から研究を行った。1)については、1名のアスペルガー障害児童の授業中の教室外への逃避・床への寝ころび行動を減らし、授業参加を促進するための手続きとしての自己監視手続きに関する検討を行った。その結果、課題従事の自己監視手続きは、離席を減らす効果を示したものの、学習時間の増加には直接効果を示さなかった。その一方で、学業達成の自己監視手続きを導入することではじめて学習時間の増加が観察された。この研究を通じて、対象児の抱えている問題状況のアセスメントと、その結果に基づいた自己監視手続きの導入が、問題解決において重要であることが示された。2)においては、2名の発達障害児が対象とされた。そのうち1名は、広汎性発達障害児であり、給食の準備と歯磨きに関する介入を、目標設定とポジティブ・フィードバックの手続きを用いて行った。その結果、介入後、これらの日課活動は即時に成立した。もう1名は知的障害のある児童が対象であった。標的行動は「給食の準備と片付け」ならびに「掃除」であった。目標設定とフィードバックによる介入を実施した結果、対象児のみに介入した条件では十分に効果が示されなかった一方で、学級全体の支援を実施した結果、対象児の日課活動が即時に改善した。以上の結果から、目標設定とそれが達成された場合にポジティブ・フィードバックを提示することは、通常学級に在籍する発達障害児の日課活動の推進に効果があることが示された。さらに、個別的な対応だけでは十分でない場合には、クラス全体に対して介入することが効果を促進することも明らかになった。
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Research Products
(1 results)