2005 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児を含む特別支援を要する児童・生徒に対する発達神経心理学的研究
Project/Area Number |
17530697
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内田 芳夫 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (20004129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雲井 未歓 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (70381150)
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Keywords | 広汎性発達障害(PDD) / 学習障害児 / 特別支援教育 / 神経心理学的研究 |
Research Abstract |
自閉症に代表される広汎性発達障害(PDD)のうち、知的発達に遅れのない高機能児は、要求伝達や挨拶よりも命題伝達行動(事実の報告)にニーズがあるが、この点の支援は検討されていない。彼らが発話文の生成に作業記憶の多くを消費して伝達内容の保持に失敗することを仮定し、メモ帳への書き取りによる効果を検討した。対象児は記憶項目をメモ帳に書き取ることで、成績が上昇した。 学習障害児では、漢字の獲得に困難が生じやすいと指摘されている。意味ルートへの依存が高い対象児に対して、語彙を介した指導を行った結果、成績が上昇した。これは、対象児の認知特性を誤書字の内容から評価し、これを考慮して指導内容を構成することが重要であることを意味している。また、軽度発達障害児7名を対象にリーディングスパンテスト(RST)を実施した。特に、文頭語のリストの呈示がワーキングメモリの促進要因となることを明らかにできた。このことから、インデックスを参照することにより、その意味的内容が的確に理解され、ワーキングメモリを活性状態に保つことが可能になることが示唆される。 健常児群と精神遅滞児群を対象に同時総合と継次総合の課題を実施した。その結果、精神遅滞児における認知の特徴として、直観-空間的思考の未発達や抽象刺激を解釈する力や見本を再生する力に弱さが見られた。健常幼児5歳児と6歳児を比較した結果、特に符合課題で6歳児が良好な遂行を示した。その背景には、情報の記号化や視覚的短期記憶等の諸要因が複合的に影響した結果と推測される。次年度は、これらの知見を基礎に、特別支援教育を要する児童・生徒に対する神経心理学的研究を発展させる計画である。
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Research Products
(2 results)