2005 Fiscal Year Annual Research Report
振動流による超流動ヘリウム4量子渦の形成・成長過程の研究
Project/Area Number |
17540335
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
矢野 英雄 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70231652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 徹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10156333)
小原 顕 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (50347481)
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Keywords | 超流動ヘリウム / 量子渦 / 超流動乱流 / 層流 / 乱流 / 層流-乱流遷移 / 振動子 / 希釈冷凍機 |
Research Abstract |
我々が開発した超伝導極微細線による振動ワイヤ法により、「振動流による量子渦のダイナミクス」という新たな研究分野を開拓しつつある。本研究では、超流動ヘリウム4中でワイヤを振動させ、ワイヤに付着した量子渦糸と超流体との相互作用を、振動に対するワイヤの応答を測定することにより明らかにする。本年度の研究実績は以下のとおりである。 1.振動子に用いる超伝導極微細線の開発を行った。市販の超伝導線材をダイスにより細くし、最小直径2μmの線材を製作することに成功した。 2.開発した直径2.5μmの振動ワイヤを用いて、素励起のない低温における振動の応答測定から、振動ワイヤにワイヤ径の数分の1程度の量子渦が付着していることを明らかにした。 3.層流状態での量子渦のサイズは、ワイヤ速度が増すにしたがって大きくなるのに対し、乱流状態では速度が増すにしたがって小さくなることを見いだした。 4.直径4.5μmの超伝導極微細線を用いて、2桁にわたる振動周期の振動ワイヤの開発を行った。 5.超流動ヘリウム中で行った予備実験により、層流-乱流遷移の臨界ワイヤ速度は、周波数によって変化することを明らかにした。この依存性は、乱流遷移の原因と考えられる量子渦の成長不安定性が、振動周期に依存していることを示唆している。 上記の2と3および5の成果は、超伝導極微細線の開発とそれを用いた振動ワイヤ開発の成功によるところが大きい。3および5の結果は超流体が量子渦に及ぼす影響を如実に示しており、今後の研究の進展によって量子渦の形成・成長過程を明らかにすることが期待できる。
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Research Products
(2 results)