2005 Fiscal Year Annual Research Report
光によりリチウムイオンを捕捉する含窒素芳香族大環状化合物の合成とその利用
Project/Area Number |
17550124
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 昭二郎 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (20013196)
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Keywords | 大環状化合物 / リチウム / 光異性化 / ピリジン / 1,10-フェナントロリン / クラウンエーテル |
Research Abstract |
我々は4つのピリジン環からなる含窒素大環状配位子が極めて高選択的にリチウムイオンを取り込むことを見出しているが、さらにリチウム分離機能を高めるために種々の誘導体の合成を行っている。そのいくつかが光により異性化し、リチウムイオンの取り込みが光により制御されることがわかった。光異性化とリチウムイオン取り込みとの関係を明らかにするためにブリッジの置換基のかさ高さを変えて光異性化速度とリチウムイオン取り込み速度をそれぞれ比較した。置換基にベンジル基と長鎖アルキル基を用いたところ、それぞれの速度に差が見られ、置換基のかさ高さが配位子に歪を与え、光反応速度およびリチウムイオン配位速度に影響をあたえることがわかった。現在投稿中である。さらに反応の置換基効果を追及し、リチウムイオン取り込みの光制御システムを構築することとする。 さらに、窒素と酸素を含む大環状化合物として、光異性化することがわかっているピリジル-ピリジリデンアセトニトリル構造を含むクラウンエーテルの設計を行い、光により配位能が変わる大環状配位子の検討を行っている。現在、まだ合成に成功していないが、その前駆体の非環状化合物が得られており、その環化反応を試みている。また、2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンとシアノ酢酸エステルとの反応により、光により異性化する1,10-フェナントロリン誘導体を得ることができた。そこで、2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンに対し、末端に2つのシアノ酢酸エステル基をもつポリエーテルとの反応を行い、1,10-フェナントロリンとポリエーテル構造を併せ持つ大環状化合物の合成に成功した。現在、この化合物が光により異性化し色が変わることがわかり、さらに光異性化がリチウムイオンにより制御されることがわかった。これについても、現在投稿準備中である。
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