2006 Fiscal Year Annual Research Report
光によりリチウムイオンを捕捉する含窒素芳香族大環状化合物の合成とその利用
Project/Area Number |
17550124
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 昭二郎 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (20013196)
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Keywords | 大環状化合物 / リチウム / 光異性化 / 1,10-フェナントロリン |
Research Abstract |
リチウムは今後、リチウムイオン電池の普及と共に、その需要量が大幅に増加することが予想される。しかし、資源には限界があり、海水中または廃水中からリチウムイオンを分離できればエネルギー問題、資源問題への寄与は極めて大きいと考えられる。リチウムイオン選択性配位子の多くはクラウンエーテル等酸素原子が配位に関与するものであったが、我々は、6,6‘-ジブロモ-2,2'-ビピリジンを出発原料として窒素原子を含む芳香族環状構造を構築することにより、リチウムに対して高い選択性を達成することが出来た。さらにリチウムイオンとの相互作用により共役系が変化し、スペクトルが大きく変わることも大きな特徴である。 我々は、これらの含窒素大環状化合物は光により異性化し、これがリチウムイオンと強い相互作用を示す可能性を見出した。そこで、ピリジン環を含み、光により異性化する種々の環状廃位子を合成し、光によりリチウムイオンの捕捉を制御できる可能性を検討することとした。 我々はすでに我々により始めて合成された2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンを用いて活性メチレン化合物と反応させることにより、これが光によりプロトンが移動し、スペクトルが大きく変わることを見出している。本研究では、2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンと両末端にシアノ酢酸エステル基をもつポリエーテルと反応させ、1,10-フェナントロリン環とクラウンエーテル構造および活性メチン基を併せ持つ大環状化合物の合成を行うこととし、高収率で合成することに成功した。この環状化合物はリチウムを選択的に捕捉すること、および光照射により共役系が減少し無色となることを見出した。さらに、リチウム錯体に光を照射しても色の変化は起こらないことから、リチウムイオンの取り込みにより光による構造変化が制御されることがわかった。 今後、光により制御できるリチウムイオンキャリアとしての利用が期待される。
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Research Products
(2 results)