2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西 敏夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70134484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 健 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90301770)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ナノレオロジー / ナノトライボロジー / エラストマー / ナノコンポジット / 温度時間換算則 / 弾性率マッピング / 界面 |
Research Abstract |
本研究では原子間力顕微鏡をもとにしたナノレオロジー・ナノトライボロジー測定を現実的な系に応用する初めての試みとして、高分子工業において最近注目を集めているエラストマー試料およびエラストマーをマトリックスにしたナノコンポジット材料に適用することを目的として研究を推進した。エラストマー試料については架橋密度、温度をパラメータとした粘弾性的物性データの取得、伸長率をパラメータとした凹凸像と粘弾性的物性データとの相関、および材料の力学的強度に大きな影響を与える伸長結晶化などについて研究を行った。特に伸張率をパラメータとして天然ゴムについて行った研究では、従来云われてきたアフィン変形の仮説が成立しないことを弾性率の二次元マッピングから明らかにした。本年度購入した温度制御コントローラによって低温域の測定が可能となり、零度付近にガラス転移温度があるブチルゴムに関して、その弾性率に関して温度時間換算則を確認することもできた。またナノコンポジット材料についてはクレイやカーボンナノチューブなどをフィラーとして充填したものを扱う前段階として、粒径の小さなカーボンブラックを充填した天然ゴムについて弾性率マッピングを実現し、界面の力学物性を評価することを可能にした。近年ナノ素材を充填したエラストマー材料のマクロな力学物性については様々な知見が得られ始めているが、従来の理論からは予測できない結果が報告されている。フィラーのサイズがナノメートルスケールになってくるとフィラー自身のサイズとエラストマーとの「界面」のサイズが拮抗しており、「界面」の影響が大きく表れてくるためにそういう予想外の結果が現れるのであろうが、そういった観点からナノメートルスケールの力学物性を評価した例は未だない。本研究でそういった評価が可能となったことは特筆すべきことである。
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Research Products
(5 results)