2005 Fiscal Year Annual Research Report
水滴の水面衝突によるイレギュラー気泡音の発生機構の解明と応用
Project/Area Number |
17560132
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
冨田 幸雄 北海道教育大学, 教育学部函館校, 教授 (00006199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 光太郎 工学院大学, 工学部, 助教授 (80252625)
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Keywords | 流体 / 可視化 / シミュレーション工学 / 人間生活環境 |
Research Abstract |
(1)吸水性の良い材料を充填したノズルを使用して直径4.8mmから6.2mmまでの水滴を生成させ、ノズルからの離脱特性および主滴サイズと衛星滴サイズの相対関係を実験的に明らかにした。 (2)現有の実験装置を利用して、水滴の落下運動を、本年度撮影依頼した高速度カメラ(サンピコ株式会社)と既設の瞬間撮影装置の併用により光学的に詳細に明らかにした。その結果、異なる水滴サイズに対する水面衝突直前の水滴形状(アスペクト比)を明らかにした。重力場で形状振動しながら落下する水滴は、フルード数に依存しながらアスペクト比を交互に変化させることが明らかとなった。 (3)以上の基礎知識に基づき「不規則気泡取り込み領域」での水滴の水面衝突現象に関する実験を行った。衝突後の水面変形、スプラッシュ、クラウンおよび水柱の形成・発達・崩壊と分裂、その結果としての空気泡の生成過程を高速度カメラと既設のマイクロフラッシュ(閃光時間2μs)を光源とする瞬間撮影との併用によって光学的に、詳細に明らかにした。一方、水中で発生する過渡音響信号をハイドロフォンで計測し、既設のポータブルFFTアナライザーで処理した。その結果、イレギュラー気泡取り込み領域では、最大3回の水中過渡音響発生があることが明らかとなった。 (4)最初の水中音は、衛星滴が変形水面に衝突し一部の空気塊を水中に分離させることによって生じる空気泡の振動が原因であり、水中音のスペクトルはミナートの式で予測される空気泡の体積振動に一致した。二番目の水中音は、水面上に発達した水柱の挙動と関係しており、この水柱の落下過程で、その底部がくぼんだ水面と接触することによる気液界面の分裂が原因となって発生した空気塊あるいは微細な空気泡群の振動に起因している。この第二気泡音は複雑な界面分裂現象と関わっているため確率的な様相を呈し、フルード数に依存しながら、発生確率が0%、100%あるいはこの中間的な数値となった。この事実はイレギュラー気泡取り込み領域の大きな特徴である。第3番目の水中音響は、水柱が完全に水中に沈降する時に現れるが、この際の音響強さは微弱である。したがって、通常、イレギュラー気泡取り込み領域における発生音は、"ポ・チャーン"という音として聞こえる場合が多い。 (5)既設の水瓶を用いて、水滴の水面衝突現象により発生される音響を調査した。より良い音をつくるためには、水滴サイズや水温および落下流量の適切な選定が必要である事が分かった。 以上の成果の一部は平成17年度の日本混相流学会年会で発表したが、新たな知見については平成18年度の日本混相流学会年会(金沢)および平成18年度の日本機械学会年会(熊本)で発表する予定である。
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