2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体平衡維持機構の制御論的研究とその高齢者転倒予防等への応用
Project/Area Number |
17560220
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江 依法 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物制御システム研究チーム, 研究員 (40373302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英紀 独立行政法人理化学研究所, 生物制御システム研究チーム, チームリーダー (10029514)
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Keywords | 筋張力制御 / 自律神経機能 / 心拍変動- / 姿勢維持 |
Research Abstract |
姿勢緊張における自律神経活動との同期現象の研究:「背景」直立等身体の姿勢維持において姿勢緊張(Postural Tone)の制御が大きな役割を果たしている。大脳皮質あるいは小脳の損傷の場合には体の筋張力制御の障害をもたらし人間の姿勢維持が不可能になった状況が良く見られる。これまで、姿勢制御のメカニズムとして脊髄反射、錐体外系の働きおよび姿勢反射に帰着され、自律神経機能との関連はまだ未解明である。我々は心拍変動を計測しながらヒト直立時の重心動揺を記録した結果、心拍変動と床圧力中心(Center-of-pressure:COP)との関連性を提示してきた。「目的」本研究の目的は姿勢緊張と自律神経活動との同期現象を明らかにし、その機序を探る。「方法」被験者らはフォースプレートの上に立たせて、心電図計による心拍変動を計測する。同時に、右手の親指と人差し指間の握力もモニターした。その時、被験者に一定の力で握力を維持するように指示した。健常者6人(平均年齢32±3.2歳,男性4人,女性2人)が以上の実験を実施した.「結果」1)心拍変動の低い周波数成分(<0.03Hz)に重心動揺と心拍変動との同期現象が現れる。2)右手の親指と人差し指間の握力は計測から5分後に心拍変動と同期した現象が見られる。「結論」姿勢緊張は低い周波数で心拍変動と同期し、自律神経活動が姿勢緊張に影響していることを明らかにした。自律神経活動が脳幹のレベルで筋張力の調整に影響していると考えられる。
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