2005 Fiscal Year Annual Research Report
ASR損傷によりせん断補強筋の破断を生じたRC部材のせん断耐力の評価
Project/Area Number |
17560436
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 晋 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30168447)
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Keywords | アルカリシリカ反応(ASR) / せん断耐力 / せん断補強筋の破断 / せん断補強筋の付着・定着 / コンクリートの膨張 / 材料劣化 / 屋外暴露 |
Research Abstract |
本研究は,せん断補強筋が破断したはり部材のせん断耐力を,主としてASR損傷コンクリートを用いた供試体の載荷試験により検討し,実際の損傷状況に近い形で破断鉄筋の付着・定着特性を含めたせん断耐力を評価することが大きな目的である。 平成17年度においては,せん断補強筋の曲げ内半径,せん断補強筋の破断の有無,供試体寸法を主要因として,ASRコンクリートを用いた実験用はり供試体を作製し,屋外暴露試験をを開始した。約7ヶ月経過時点で小型はり供試体には最大ひび割れ幅0.5mm程度,大型はり供試体では1.0mm程度のひび割れが発生しており,現在,膨張による損傷の初期段階にあるということができる。このまま屋外暴露を継続し,所定の損傷状況(幅2.0mm程度のひび割れが多数発生した状態)に達した時点で載荷試験を実施する予定である。 また,ASRによる膨張やせん断補強筋の破断を模擬したRCはり供試体によるせん断耐力確認実験を実施し,せん断補強筋の破断や破断鉄筋の定着性状がRCはりの基本的なせん断耐荷性状に及ぼす影響を検討した。その結果,コンクリートの膨張に伴う付着強度の低下などの材料劣化が生じても,せん断補強筋の定着が完全である場合(破断を生じていない場合)は,せん断耐力の低下はほとんど生じないものの,定着が不完全な場合(破断を生じている場合)は,早期のせん断破壊を生じ,これに材料劣化の影響が加わると,せん断耐力は大幅に低下することが明らかとなった。すなわち,ASR損傷構造物のせん断耐力に関しては,せん断補強筋の定着状況が極めて大きな影響を及ぼし,破断を生じている場合はその周囲のコンクリートの付着強度によってせん断耐力が大きく変化することが明らかとなった。
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