2006 Fiscal Year Annual Research Report
ASR損傷によりせん断補強筋の破断を生じたRC部材のせん断耐力の評価
Project/Area Number |
17560436
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 晋 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30168447)
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Keywords | アルカリシリカ反応(ASR) / せん断耐力 / せん断補強筋の破断 / せん断補強筋の付着・定着 / コンクリートの膨張 / 材料劣化 / 屋外暴露 |
Research Abstract |
本研究は,せん断補強筋が破断したはり部材のせん断耐力を,主としてASR損傷コンクリートを用いた供試体の載荷試験により検討し,実際の損傷状況に近い形で破断鉄筋の付着・定着特性を含めたせん断耐力を評価することが大きな目的である。平成18年度においては,ASR損傷コンクリート中の鉄筋の付着強度試験,ならびにASR損傷が比較的軽微(最大ひび割れ幅1mm程度)な段階でのRCはり部材の載荷試験を実施した。 まず,ASR損傷を生じたコンクリート(暴露開始後約400日,自由膨張量約3000μ)中の鉄筋の付着強度については,供試体表面に最大で0.4mm程度のひび割れが発生していたにもかかわらず,同配合の普通コンクリートと比較して付着強度の低下は最大で10%程度であり,上述のようなASRによる損傷状況では,直径の10倍程度の定着長が確保できれば,鉄筋は降伏に至ることが明らかとなった。また,RCはりの載荷試験においても,せん断補強筋の破断がない普通コンクリートはり供試体が最終的にせん断破壊したのに対し,ASR損傷コンクリートはり供試体はせん断補強筋の破断の有無にかかわらず最終的に曲げ破壊した。本結果より,自由膨張量3000μ程度,最大ひび割れ幅1mm程度のASR損傷では,膨張拘束によるケミカルプレストレスの効果が卓越するとともに,付着強度の顕著な劣化が生じていなかったこともあって,せん断補強筋の破断が耐荷力や破壊形式にほとんど影響しなかったものと考えられる。ただし,せん断補強筋が破断している供試体では,膨張により発生していた軸方向鉄筋に沿うひび割れが載荷とともに開口する傾向が伺え,膨張によるひび割れの進展状況によってはせん断付着破壊へと破壊形式が移行する可能性が懸念された。したがって,次年度は更に損傷が進行した状態での付着強度試験,はりの載荷試験を実施し,その影響を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)