2005 Fiscal Year Annual Research Report
斜面安全管理のためのGPS変位計測システムの高精度化
Project/Area Number |
17560445
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清水 則一 山口大学, 工学部, 教授 (70150357)
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Keywords | 斜面安全監視 / 変位計測 / GPS / 気象補正 / 上空障害物処理 / 高精度化 |
Research Abstract |
GPSによる変位計測の高精度化のために、計測環境要因に基づく誤差の取り扱いを2つの重要な観点から検討した。すなわち、(1)気象条件による誤差、および、(2)上空障害物による誤差、についてこれらを除去する方法を検討し、現場計測結果に適用しその妥当性を検証した。具体的には以下のとおり。 (1)気象条件による誤差の調査と補正方法の検討および検証 人工衛星からの電波は、通過する大気の気象条件により屈折し、計測点に達するまでの距離に誤差を生じる。このような対流圏の電波の伝播遅延については、人工衛星の制御のために1970年代に数種のモデルが研究された。本研究では、それらのうちどれがGPS変位計測に適切かを検討した。 GPS変位計測システムと高精度の温湿度センサーを地すべり斜面に設置し、数ヶ月間連続計測を行い、気象補正を行った。その結果、伝播遅延によると考えられる年周期誤差を除去することに成功した。これは、GPS変位計測において、筆者の知る限りにおいては世界初のことである。この結果によって、GPSを用いた変位計測の正確が格段に向上し、精密変位計測の確立が期待できる。 (2)上空障害物の影響の除去方法の検討および検証 GPS計測においては、計測センサー(アンテナ)周辺の木々や山が人工衛星からの電波の障害となる。人工衛星の軌道と重なる障害物の背後の衛星からの電波を用いないで解析し、変位を算出することで上空障害物の影響を除去できるものと考えられている。 地すべり斜面と道路切り取り斜面に対して、それぞれ、長期間連続計測を行ったデータに対して、上記の考え方をシステマティックに行うことによって、従来の方法と比べ計測の乱れを大幅に除去し、計測精度を格段に向上させることに成功した。 上記の成果によって、計測環境によらず、GPSとしては世界最高高精度のmm精度の3次元変位の連続計測の可能性が見出せた。
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